行政が発注する“誰もいない葬儀” 遺体の保管料は業者の重い負担に

「身寄りのない遺体」は、政令指定都市の名古屋市でも増えています。ある日、行われていたのは“誰もいない葬儀”…市が発注した簡易な葬儀で、立ち会っていたのは業者だけです。亡くなったのはやはり、身寄りのない男性でした。

(セレモニー白壁 後藤雅夫社長)
「身寄りがいない方が多い。引き取り手がいないという方もいます。親族がいても引き取りたくない、関わりたくないという方が多い。(依頼は)ほとんど行政から」

ここでは13年前から、市やNPOからの依頼で身寄りのない遺体の葬儀を行っています。バックヤードには遺体を保管する冷蔵庫があり、取材した日も11体が安置されていました。冷蔵庫の数は、2011年は一度に6体しか入らない1機だけでしたが、今では3機に増え13体を保管できるようになりました…しかし、業者に聞くと大きな課題が。

(セレモニー白壁 後藤雅夫社長)
「(葬儀代は)20万円ちょっと。3か月預かっても、1週間でも保あ管料は一緒。痛いですね。(保管代は)持ち出しになりますからね」

行政からの依頼の場合、業者に支払われる葬儀料は、多くても20万円程度。その中から、遺体を保管するコストや、葬儀や火葬にかかる費用を業者が負担することになります。親族の確認などに時間がかかり、遺体の保管が長くなればなるほど業者の利益は減ってしまうのです。

元葬儀場に遺体が放置されていた岡崎市の2体のケースでは、保存にドライアイスが使われていましたが、そのための費用が1日1万円近くかかる場合もあるため、いずれも途中から放置され、腐敗したと見られています。