運転士不足の解消を目指します。運輸業界は全国的に人手不足が懸念されていて、地方の鉄道も例外ではありません。そんな中、岡山市の岡山電気軌道では全国でも例を見ない採用活動を始めました。その内容、そして狙いとは?

路面電車の車庫です。

岡山電気軌道は年に数回、定期的に子どもたちなどを対象に運転体験会を行っていますが、この日、運転しているのは「大人」です。岡山県内だけでなく県外からも、あわせて18人が参加しました。

(指導する人)
「スピードが出てくるまで そのままで、スピードが出だしたら、左手は元の位置 はい」

大人たちが運転士に教わりながらレバーを操作、初めての路面電車の運転です。実はこれ、採用活動の一環「路面電車運転体験付き採用説明会」なんです。

公道での路面電車の運転は免許が必要なため、車庫内の約50mの軌道のみですが、全国でも例を見ないこのような採用説明会を始めたのには理由があります。

(岡山電気軌道 渡邉寛人常務)
「プロドライバーが足りていないというところで『電車の運転士になってみたいけれども、ちょっと心配だな』って言われる人。こういう体験をやったら少しどうだろうかと」

いま運輸業界の人手不足は深刻です。

コロナ禍を経て経済が動き出し、一斉に採用活動が再開した中、運輸業界は重労働だと避けられる傾向にあるといいます。

岡山電気軌道を運営する両備グループも、バス・タクシーの運転手の採用活動で苦戦し、その波は路面電車にも。過去30人近くいた運転士は現在22人にまで減少しました。

運転士が足りないことから、8月末から日中の運行を一部時間帯で6分から8分間隔に広げざるを得ない状況です。

こうした現実を背景にした、今回の運転体験付き説明会。座学では、運転士の国家資格をどのようにして取得できるかなども説明。その上で、実際に運転ができるというのは、志望者にとっても大きいようです。

(埼玉から参加)
「運転自体も貴重な体験だから、ちょっとやってみようかと」

(広島から参加)
「電車の運転士を目指したい、という気持ちがどうも消えなくて、夢を捨てきれなくて今回応募することに」

(岡山電気軌道 渡邉寛人常務)
「普段の3、4倍ぐらいは来られたんじゃないでしょうか。思った以上に大勢の方が来ていただいて大変ありがたかったです」

運転体験付き説明会は功を奏すか?今回は1月に4人を採用予定で、説明会は23日にも行われる予定です。