「なんてすごいんだ」 大谷翔平は「地球上で最高の野球選手」
ホラン:
大谷さんのこういうところがすごい、というのはありますか?
ヌートバー:
はい。どういう想像をしているかわかりませんが、彼は傲慢になってもおかしくないし、私がそれまで見ていたのは彼がフィールド上でどれほど素晴らしい選手であるかでした。しかし彼に会った時、彼がとても謙虚であることに心底驚きました。私の想像を吹き飛ばしました。彼は素晴らしい選手であると同時に、素晴らしい人間です。WBCでの経験を通して、彼が優しく謙虚だと知りました。彼のそんな一面を見ることができ、関係性を築くことができたのはクールです。
ホラン:
WBCの後もコミュニケーションは取られていますか。
ヌートバー:
はい、年中メールのやり取りはしていましたよ。ほぼ通訳を通してですが、近況を話したり、話はします。彼がけがをしたときも話しました。良くなるようにと。メールのやり取りはしますよ。他のチームの皆ともね。日本にいる間に、彼らに会う事ができたのも嬉しいです。

ホラン:
大谷選手からの思い出深いメッセージは。
ヌートバー:
彼がけがをして手術を受けた後に、「本当にショックだ、回復を祈っているよ」と連絡したら、彼は「心配しないで、より強くなって戻ってくる」と言っていました。なんてすごいんだ、手術を受けてすぐに楽観的に「より強くなってもどってくる」って考えているなんて。私もそう信じていますし、彼もそうだと思います。翔平は、〝地球上で最高の野球選手〟ですから。
「ポジティブなものに囲まれるのは大切」
ホラン:
メンタルコントロールについて聞かせてください。
ヌートバー:
負傷者リストに載ったら、いろいろなモチベーションがあります。早く戻りたい、チームメイトとまた一緒にプレイしたいという気持ちがモチベーションになります。皆がプレイしているところで、自分がそこにいない、チームの勝利に貢献できない、そういった気持ちが復帰のモチベーションになります。
ホラン:
ルーティーンはありますか。
ヌートバー:
もちろん。音楽はいいですね。気分や日によって聞く音楽も変えます。いつもそうではないですが、音楽を感じる日があったりします。ポジティブな人に囲まれたり、ポジティブなものに囲まれるのは大切ですね。
侍ジャパンは「家族」 日本のファンのためプレーし続ける
ホラン:
侍ジャパンの皆さんに対して思うことはありますか。
ヌートバー:
家族という言葉が頭に浮かびます。私がクラブハウス入った時、とてもナーバスになっていて、誰も知り合いがおらず不安でした。ですが、マイアミを離れる時には、生涯の友人達との思い出が出来ました。短い間で、とても仲良くなれました。家族です。

ホラン:
日本のファンへのメッセージをお願いします。
ヌートバー:
日本のファンのみなさん、ありがとうございます。皆さんにお礼を言いたいです。今年は思い出深い1年でした。皆さんのおかげです、ありがとう。侍ジャパンでは若い選手を含め全員から良い刺激を受けました。そして日本のファンの皆さんが毎日私を鼓舞してくれました。心の底からお礼を言わせてください。皆さんの為にこれからもプレーし続けます。
■ラーズ・ヌートバ―
1997年9月8日生まれ、身長191センチ。アメリカ出身。愛称「たっちゃん」
アメリカ人の父と、日本人の母を持つ。2018年MⅬBドラフト8巡目でカージナルスに指名されプロ入り。2021年にメジャー初昇格。2023年のWBCでは、初の日系メジャーリーガーとして日本代表・侍ジャパンに選出。“ペッパーミルパフォーマンス”が話題を呼び、プレーでも攻守に活躍。日本の世界一に貢献。