日常生活で「遊ぶ」時間が確保しづらい病気や障がいがある子どもたちに、思い切り“遊び”を楽しんでもらおうと、特製の“おもちゃ”がプレゼントされました。

この取り組みは、「日本財団」と「東京おもちゃ美術館」が2019年から行っています。2回目の今回は全国150の病院や施設におもちゃが贈られることになっていて、このうち県内では、東京おもちゃ美術館と連携して今年7月にオープンした「佐川おもちゃ美術館」など、3つの施設にあわせて70点が贈られました。おもちゃは、医師や理学療法士らの意見を取り入れながら、実際に病気の子どもたちに遊んでもらうなどして、1年以上かけて開発しました。音や、動き、木の触り心地など、「五感」で楽しめるよう工夫されています。

「蒼くん、どう?楽しい?」

永野蒼(ながの・あおい)くん、4歳。脳のまわりに水が溜まって圧迫され、身体、知能の発達に遅れが出るとされる「X連鎖性遺伝性水頭症」という病気です。母の夏帆さんは、「蒼くんが市販の“おもちゃ”には興味を示さないのではないか」、「扱うことができないのではないか」…などといった不安から、新しい“おもちゃ”を買う機会も少なくなっていたといいます。

(蒼くんの母 永野夏帆さん)
「この子の病気がわかってから、おもちゃ屋に行くことが怖くなってしまっていたが、こんな機会をいただいて、この子も楽しいし、私たちも『また前を向いて頑張ろう』という気持ちにさせてもらえるので、すごくいい機会だと思った」

難病などで医療的なケアが必要な子ども=「医療的ケア児」は、ここ10年で倍増し、現在、国内におよそ2万人います。日本財団によりますと、その多くが看護やリハビリに時間を費やし、「遊ぶ」時間が確保されづらくなっているといいます。

(東京おもちゃ美術館 多田千尋 館長)
「『おもちゃ』は食べ物と一緒で『食事』。『体にとっての栄養』が『食事』なら、『おもちゃ』は『心の栄養』。この世から、『心の栄養失調の子どもたち』をなくさないといけない。この活動が特別なことにならないように、『日常食』=普通のことになるまで、私たち『東京おもちゃ美術館』は応援していきたい」

プロジェクトでは今後、遊び方の研修やおもちゃによる効果を確かめるなどして、子どもたちの豊かな感性を育んでいきたいとしています。

難病の子どもたちだけでなく、その親も、家では命に関わる「看護」や「リハビリ」が優先され、子どもと一緒に「遊ぶ」機会が少ないといいます。ただ、インタビューにもありましたが、「おもちゃ」は子どもたちの「心の栄養」です。どんな子どもたちも、平等に「遊び」を通して豊かな感性を育める社会が来ることを願いたいですね。