「お父さん勝ってね」リングに立つ父を見守る息子

3か月のトレーニングを経て、今年10月。岐阜県で行われたプロレスのイベントで、大舘さんのエキシビジョンマッチが行われることになりました。

奥さんと息子のしゅん君も、プロレスラーとしてのデビュー戦を見にきました。刻々と試合の時間が迫ってきます。

(息子・しゅん君)
「お父さん勝ってね」

(大舘裕太さん)
「きょうはお父さんは全力でやってくるよ」

父親が持つ白杖に、いつも手を添えているしゅん君。目が見えない父親がどう戦うのか、少し心配そうです。

一度は諦めた夢。家族に支えられながらリングへ向かいます。息子への思いを胸にゴングと共に前へ。

試合序盤は大舘さんも果敢に攻め続けますが、徐々に経験の差が浮き彫りに…。それでも、最後まで諦めません。試合終了のゴングが鳴りました。初戦を勝利で飾ることはできませんでした。

でも、勝ち負けが大舘さんの目的ではありません。リングの上でプロレスへの思いを語りました。

(大舘裕太さん)
「僕は21年前に目が見えなくなったことで、夢を見失いました。ですが、こうやってたくさんの人に支えられて、21年ぶりに見えなくてもリングに帰ってくることができました。諦めなければ夢はかなう!」

リングに最後まで立ち続けた父親の姿に息子は…

(息子・しゅん君)
「勝ったらプロレスやめるの?」

(大舘裕太さん)
「やめない、やめない。負けても諦めないってことよ」