様々な分野で優れた技術を発揮し、顕著な功績を納めた人に贈られる『信州の名工』に、2023年は17人が選ばれました。

そのうちの1人、信州牛と向き合って半世紀の料理人を取材しました。

鮮やかなサシの入った牛肉と芳ばしい割下のハーモニー。

味わえるのは、長野市で53年続くすき焼き・しゃぶしゃぶの専門店『すき亭』です。

松本政(まつもとまさし)さん:
「いかにおいしい肉を選ぶかということが一番難しい所」

すき亭の総料理長を務める松本政さん69歳。

牛肉の仕入れから、下準備、調理まで手がけます。

店で提供される牛肉は、北信地方の契約牛舎で飼育された黒毛和牛を、1頭買いしたもの。

『りんごで育った信州牛』として知られています。

松本政さん:
「どのくらいどこの筋をとるかというのが肉の食感にもかかわってくるので」

使い込まれた包丁を巧みに使って、余分な脂や筋を丁寧に取り除き、肉のおいしさを最大限引き出します。

修行を経て23歳で『すき亭』に入り、先代の社長から直々に、肉の目利きとさばき方を教わった松本さん。

勤続46年目となった2023年、その技が表彰されることになりました。

10日に長野市のホテルで行われた『信州の名工』表彰式。

建築業や製造業、食品加工など幅広い分野で卓越した技能を持つ17人が、長野県の関副知事から一人ひとり表彰状を受け取りました。

関副知事:
「技能や職務に誇りを持ち、努力や業績を積み上げてこられました。深く敬意を表する次第であります」

松本政さん:
「やっぱりいろんな苦労もあっただろうし、それぞれ乗り越えて自分もそれを乗り越えられたから今こうして、ゴールじゃないんですけど、一つの到達点には来たかなという気がしますね。今まで自分が培ったものを、できるだけ若い人にも継承できれば、それが一番かなと思いますね」

最高の素材を最高の状態で味わってもらうために。

『信州の名工』松本さんは、更なる高みを目指します。