在宅療養をする人たちのために生の演奏を届ける「音楽の宅配便」が、鳥取県米子市で開催されました。
鳥取県倉吉市在住の小林圭子さんが、数年来に渡って取り組んでいるこの活動。
今回はコンサートのあとに、思いもしない出来事が起こりました。
6月22日、鳥取県米子市の祇園庵。
「音楽の宅配便」を依頼したのは、今回が2回目の依頼となる島根県立松江緑が丘養護学校高等部3年の吉儀涼華さんとその家族です。
2歳のときの複雑骨折がきっかけで 敗血症性脳症になった涼華さん。
意識はなく、医学的には耳は聴こえないと診断されています。

涼華さんの母 吉儀まさみ さん
「こういうことでも受け入れてくださるということで、是非行ってみたいなと。」
会場となった祇園庵は、校外学習で訪れたヘルスケアアパートメント。
看護師や介護士などの資格を持ったスタッフが24時間在中していて、医療依存度の高い人の受け入れも行っています。
音楽の宅配便を運営するライブアシスト 木下須賀子 社長
「自分を大事にする、尊重されるという感じが生まれるんじゃないかなと。心豊かに、そこから次のステップが生まれるのかなって。」
コンサート会場には、祇園庵の関係者の姿もありました。
施設に入居する岡本光司さん(55)は、中学生のときに、筋肉がやせ、筋力が低下したりする進行性の難病「クーゲルベルグ・ウェランダー病」と診断されました。
それでも、電動車いすに乗って、いまも1人でショッピングに出かけているといいます。
岡本光司さん
「筋ジストロフィーの病棟に入院することがあって、そのときに皆さんの姿を見て、これじゃ、自分はいかんなと思った。」
宮﨑和之さん(59)は、祇園庵の運営会社の社員として働いていましたが、8年前に多系統萎縮症と診断されました。
現在、常に介助が必要な状態ですが、日々の生活をブログで発信するなど、さまざまなことにチャレンジしています。
宮﨑和之さん
「病気になったことを後悔してもしょうがないので、前向きに考えて、なるようになるだろうと思っています。」
コンサートでは、岡本さんと宮﨑さん、2人のリクエスト曲も演奏されました。
生の音楽はおよそ30年ぶりだという岡本さんは、演奏をじっと見つめ、聴き入っていました。

岡本光司 さん
「ホールで響いて、感動しましたね。」
宮﨑和之 さん
「病気になる前はよく歌っていましたね。メロディーかな、やっぱり。」
アンコールを含め、11曲を披露した今回の「音楽の宅配便」。
涼華さんから小林さんにお礼の品が手渡されたその時でした。