■第55回秩父宮賜杯全日本大学駅伝対校選手権大会(5日、愛知県・熱田神宮~三重県・伊勢神宮、8区間106.8キロ)

学生三大駅伝(出雲、全日本、箱根)の一つ、全日本大学駅伝が愛知から三重までの8区間で行われ、駒澤大学が1区から一度もトップを譲らず完全優勝で4連覇を達成。史上初となる2年連続学生駅伝三冠に王手をかけ、残すはあと箱根駅伝のみとなった。タイムは5時間9分00秒(速報値)。青山学院大が2位で5年ぶりVには届かなかった。

出雲駅伝(10月)でも完全優勝を果たした駒澤大は、この日も盤石の走りを強さをみせ、大会最多を更新する16度目の優勝。シード権争い(8位以内)は東京国際大が8位に滑り込んで2年ぶりに獲得。早稲田大が8区で順位を落とし10位で5年ぶりにシード権を逃した。

4年ぶりに声出しの応援が解禁された全日本大学駅伝。日本全国の大学が集まり27チームで争う日本一決定戦、気象コンディションは気温16.9℃と2022年の12℃より4℃も高く、湿度は85%と蒸し暑い状態。1区(9.5キロ)は大声援でのスタートとなった。

前半からハイペースとなったが2022年の三冠(出雲、全日本、箱根)、そして今年の出雲駅伝を制した駒澤大を各校がマークし、4キロまでは牽制しあいながらのレース展開をなった。そして4キロ過ぎで当日変更で出場となった青山学院大の若林宏樹(3年)が抜け出し、2位集団に10秒の差をつけた。8キロ付近で2位集団がスピードをあげてふるい落としがはじまり、青山学院の若林に追いつくと駒澤大の赤津勇進(4年)、早稲田大の間瀬田純平(2年)、中央大の吉井駿恭がトップ争い、1区は駒澤大の赤津が区間賞でタスキを渡した。

エースがそろった2区(11.1キロ)、注目の順天堂大の三浦龍司(4年)はトップと23秒差の13位でタスキを貰うと5キロ付近までに2人を抜き11位に順位をあげた。さらに7キロ付近、9キロ過ぎに次々と選手を抜いていった。三浦は5人抜き、チームをシード権の8位まで順位をあげてタスキを渡した。

トップ争いは駒澤の佐藤圭汰(2年)と早稲田の山口智規(2年)、しかし、5キロ過ぎで駒澤の佐藤がハイペースでレースを引っ張ると早稲田の山口が遅れ始め、“王者”駒澤の独走状態に入っていった。佐藤は31分01秒の区間新記録をマークし、2位の青山学院との差を16秒と広げた。

3区(11.9キロ)、前半区間最長の距離も今年の出雲駅伝1区(8キロ)で区間賞を獲った駒澤の篠原倖太朗(3年)が安定感のある走りで7キロ過ぎには2位との差を36秒と広げる好走を見せた。駒澤はここまでトップを譲らず2位に1分差をつけてのタスキリレーとなった。

気温が20℃を超える難しいコンディションでも圧倒的な強さを見せる駒澤は4区(11.8キロ)の赤星雄斗(4年)、5区(12.4キロ)の伊藤蒼唯(2年)、6区(12.8キロ)当日メンバー変更で出場した安原太陽(4年)と3選手も独走状態でも攻めの走りを見せて2位以下を突き放した。

7区(17.6キロ)、トップの駒澤はキャプテンの鈴木芽吹(4年)が単独走でも8キロ付近まで区間記録から約6秒しか遅れていないハイペースで飛ばしていった。2位の青山学院に2分49秒差をつけてアンカーに託した。

そして、8区(19.7キロ)最長区間を任された駒澤のアンカーの山川拓馬(2年)も確実な走りでトップを守り切り、1区からトップを許さず完全優勝で4連覇を達成。10月の出雲駅伝でも完全優勝を果たしており、二冠を完全優勝で手にした。史上初の2年連続学生駅伝三冠は残すところ箱根駅伝のみとなった。

◆激しいシード権争い、東京国際大が粘りの走りで8位

上位8チームに与えられるシード権争いは8区で9位の創価のS.ムチーニ(1年)が12位から9位まで順位をあげ、8位のシード権まで4秒差に迫った。

7位、8位、9位争いはアンカー勝負となり、早稲田、創価、東京国際の3チームが激突。シード権は3チーム中、2チームが獲得できる。レースが動いたのは3キロ付近、8位でタスキを受け取った早稲田の伊福陽太(3年)が遅れ始めた。創価の吉田凌(3年)が抜け出し、東京国際と創価の戦いとなった。創価の吉田は一気にスピードをあげ6位まで順位をあげた。東京国際の川内琉生(2年)は粘りの走りで8位をキープ。早稲田は7区まで8位を守っていたが10位に終わり、5年ぶりにシード権を逃した。

【全日本大学駅伝対校選手権 結果(上位10チーム)】
優勝 駒澤大学 
2位 青山学院大学 
3位 国学院大学
4位 中央大学
5位 城西大学
6位 創価大学
7位 大東文化大学
8位 東京国際大学
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9位 東海大学
10位 早稲田大学