5年に1度開かれることから和牛のオリンピックと言われる全国和牛能力共進会。鹿児島で開かれる10月の大会まで、28日でちょうど100日となりました。現在、県代表を決める出品牛の予選会が繰り広げられています。大会出場を目指す農家の思いなどを取材しました。
霧島市で先月開かれた全国和牛能力共進会の県代表を選ぶ1次審査会です。
(JAあいら 庵浩人・畜産部長)
「農家技術員協力して育ててきた牛なので立派な牛が集まっている。本選に1頭でも多く出品できることを望んでいる」
肉質や改良の成果など日本一の和牛を決める全国和牛能力共進会。5年に1度開かれるため「和牛のオリンピック」ともいわれ、今回は10月に鹿児島で開かれます。地元開催は、1970年の第2回大会以来52年ぶりです。鹿児島は前回、9つの部門のうち4部門で1位を獲得し総合優勝。今回連覇を狙います。
霧島市福山の畜産農家・長濱敏文さん(62)。生まれた子牛を8か月から9か月まで育てセリにかける繁殖農家で、妻と子どもの4人で現在120頭を飼育しています。10月の大会で出場する県代表に選ばれるよう、出品牛を準備中です。
(長濱敏文さん)
「病気をさせないように。けがをさせないように」
(三男・健人さん(23)
「ここまできたから(全共に)行きたいですね。日本一になりたいです」
大会は種牛部門、枝肉=肉牛部門、高校生などが育てた特別区部門の3つで競われます。県予選には600頭以上がエントリーしていて、今後、県代表として3部門の13の枠にあわせて24頭が出品されます。長濱さんが出場を狙うのは、種牛部門のうちに1枠しかない「雌牛の親子3代1組の部」です。
(長男・昂平さん(28)
「1次通ることができたので、あとは農協や役場の協力をもらいながら、2次審査に向けてできることを頑張っていこうと思う」
来月の2次予選に向け、家族や霧島市の畜産担当の指導員の協力をもらいながら、牛の状態を確認する日々です。
10月の大会会場にもなる霧島市では、地区から1頭でも多くの県代表を出すために飼料を無償提供するなど農家を支援しています。
(霧島市畜産課専門指導員 益永修さん)
「牛の強さ、丈夫さ。あと姿勢のよさとかをよくするために運動を行っている」
牛の姿勢も評価ポイントのため、毎日の運動は欠かせません。そして…
(記者)
「30分の運動を終えたあと、毛並みを整えるためにシャンプーを行っています」
(長濱敏文さん)
「新しい毛が生えてきて古い毛を取って。見栄えやっぱり大事」
県内の子牛のセリの平均価格は、5月は1頭あたり59万円と、去年の同じ月と比べ12万円下がりました。ウクライナ情勢による燃料や飼料価格の高騰、コロナによる消費減少などが理由とみられています。
和牛のオリンピックに出場することで、鹿児島ブランドのPRにつなげたいという思いは長濱さんたち畜産農家の共通の思いです。
(長濱敏文さん)
「みなさん、いい牛をそろえているので厳しい戦いになると思う。全共は夢の夢の話ですから、(出場へ向け)やれるだけのことはやっていきたい」
【鹿屋市でも一家で挑戦】
鹿屋市の繁殖農家・田中さとみさん(43)です。長男の拓実さんと母牛・子牛あわせて100頭余りを育てています。現在、種牛部門のなかで2頭が出場する「若雌の部」の2次予選に進んでいます。
(田中さとみさん)
「まさか自分の牛が予選を通過するというのは、思ってもみませんでした。この子(拓実)の日ごろの頑張りの成果があったのかなと、私は思っています」
今月24日、鹿屋市内の20歳から41歳までの肉用牛農家15人が集まり、「Kanoya和牛青年部」が発足しました。若手農家が連携して和牛振興を目指したいと、拓実さんも青年部に加わりました。「和牛五輪」をきっかけに自分のような若い世代に畜産に興味を持ってもらえればと期待しています。
(田中拓実さん)
「若手の一員として青年部に貢献できるように、1人の人間としても農家としてもなりたい。まずは2次予選に向けて、牛の調教なり、日々頑張っていきたい」
全国和牛能力共進会は、10月6日から10日まで霧島市と南九州市で開かれ、41の道府県からおよそ460頭が出品されます。
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