ジャングルにそびえる巨大な神殿ピラミッドの群れ。中米・グアテマラの世界遺産「ティカル国立公園」です。ティカルは、1~9世紀頃に栄えたマヤ文明最大級の都市。今も発掘中で、新発見が相次いでいる考古学のホットスポットです。

マヤ文明の高度な建築技術 正確に東西南北に配置された4つの建築物
高さ51メートルもあるピラミッド「大ジャガーの神殿」からは、1962年に翡翠をまとった王の遺骨が見つかっています。大量の緑色の宝石と共に埋葬されていた王の発見は、センセーショナルでした。他の神殿ピラミッドにも新たな王墓があるのではと、調査・発掘が続いています。

最盛期のティカルは広さ100平方キロメートル、6万人が暮らしたといいます。今は広大なジャングルに遺跡が点々としていますが、特徴的なのは4つの建築物がワンセットになって造られているもの。それぞれが東西南北に位置し、東と西にはピラミッド、北には祭壇、南には地下世界への入り口が築かれています。北に祭壇があるのは、南の地下世界に対して、天上界は北にあるとマヤ人は考えたからです。こうした4つ1組の建築物複合体が、ティカルでは6つも見つかっています。番組ではドローンを使って上空から撮影しましたが、正確に東西南北に配置されており、マヤ文明の高度な建築技術を見ることができました。
また神殿ピラミッドとは、階段状のピラミッドで最上部に神殿が築かれているものを指します。これもドローンで撮影すると、巨大さや神殿の配置など、ピラミッドの構造がよく分かりました。

ちなみに遺跡の周囲のジャングルも、貴重な動物の住みかとして自然遺産になっています。ティカルは文化遺産でもあり、自然遺産でもある複合遺産なのです。このジャングルでマヤ人が採って食べていたのが「ラモンの実」。砕いて粉状にしたものを、トルティーヤのように練って焼いていました。現在ではクッキーのように焼いて食べているとのことで、番組でも撮影したのですが、 ちょっと美味しそうでした。