県内の市町村の魅力を深掘りする「わがまちLink41」。今回は那覇に広がる自然をテーマにお伝えします。住宅街のオアシス・末吉公園で自然と親しむウォーキングイベントに参加してきました。
「人口30万人以上の県都・那覇市。歴史や風土に培われた文化や伝統、復興と共に発展してきたまちぐゎー文化も。今回はどんな一面がみられるのでしょうか」
伊良波記者
「オフィスビルや住宅が集中する那覇市ですが、ここ末吉公園では、個性豊かな動植物に出会うことができます」

那覇市北部、住宅街の中に位置する末吉公園。
一歩足を踏み入れると、そこはまるでジャングル。亜熱帯の植物や、琉球列島固有の生き物たちが出迎えてくれます。
川が流れるなど豊かな地形に富んでいて、夏になると、ホタルをみることもできます。

公園で開催される、月に一度のウォーキングイベント。
動植物に親しみながら、およそ2時間の道のりを探検します。
ガイド・藤井晴彦さん
「1番気づいてほしいことは自然の中にいることは楽しいとか、いろんな発見があることに気付いてほしい。自然があるからこそ気づける部分、楽しめる部分もあるので、それが1番の売りになるかなと思っている」

この日参加したのは4歳から80代までの7人。五感を使って、自然を体感しました。
参加者
「なんかちょっと甘い臭いする」
「あ、桜餅のにおいがする」
細い幹の先に甘い香りの葉を茂らせているのはサクラの仲間。
「これ、バクチノキという。バクチノキの特徴は若い時は出ないんですよ。今後木が大きくなってくると、バクチノキの特徴が幹に表れるんで」

個性的な名前の由来はのちほど。
緑あふれる園内をさらに進むと石畳が出てきました。
園内を横断する形で東西に走るこの道は、琉球王国時代から残る道。

沖縄戦の際に、滑って危険だとして、日本軍が石を撤去したといわれていて、今では一部に残るのみですが、歴史を感じさせます。
そして、この道を越えると…
「待って待って、怖いね、これジュラシックパークだね」
草木が生い茂る山道に入ります。

末吉公園は、平地と急峻な崖からなる段丘地形となっていて、ウォーキングコースには険しい山道も。
園内には、この地形を生かした、沖縄ならではの風習の跡が残されています。
ガイド・藤井晴彦さん
「末吉って、元々、『風葬』の場所だったんですよ」
亡くなった人を崖下などに葬り、吹きさらしにして自然に返す「風葬」。明治のころまで残っていた風習で、かつてこの場所に遺体が安置されていました。

ガイド・藤井晴彦さん
「こういう風習は内地でできない。それは肉食獣がいるから」「沖縄は肉食獣がいない。骨を砕いてたべるような動物がいないから、これができる」
動植物や、琉球王国時代の史跡、人々の営みに触れることができるウォーキングイベント。
参加者たちにとって、小さな冒険となりました。
参加した子ども
Q何が楽しかった? 「バッタ」
参加者
「那覇ではあんまり体験できない、草をかき分けて冒険みたいな散歩だったので、すごく楽しかったですね」
「とっても、きつかったです。だけど、やっぱりこういう経験も今なったらよかったなと思って、気持ちがスーッとなる」
「意外に文化財もあったりとかして、自然と文化財が融合しているところが神秘的な感じで魅力なのかなと思いました。末吉公園の。とっても楽しかったです」

那覇市を訪ねると、都会の片隅に残る豊かな自然と、歴史と文化に出会うことができました。
伊良波記者
イベント名が「親子で遠足」だったので、植物を見ながら小一時間程度散策する感じかなと思ってたんですが、けっこうな山道でした。
さて、「バクチノキ」の由来ですが、「バクチノキ」は、成長すると幹の皮がどんどん剥がれてくるそうなんです。
よく見てみると少しイメージできるかと思うんですが、成長した木の幹をみると所々、薄い茶色になっている部分があります。

茶色い部分は皮がはがれた部分で、古い皮がどんどん剥がれていって、木肌が露わになっていくそうです。その様子を、博打に負けて身ぐるみをはがされる様に例えて、「バクチノキ」と名付けられたそうです。
末吉公園では、自然と触れ合うイベントが毎月開催されていて、今回参加した散策イベントは、次回、11月26日(日)に開催されます。
今回の「わがまちLink41」、那覇市の末吉公園についてお伝えしました。