国内投資促進で賃上げ継続を。今こそ真の好循環へ

岸田総理は「供給力の強化」と「国民への還元」を挙げている。供給力の強化は今後3年程度を変革期間として、半導体や脱炭素、DX、省力化などへの補助に集中投資するとしている。国民への還元については税収増分を還元し、ガソリン、電気、ガス代の補助を2024年春まで継続。5月以降は支援の幅を縮小していくというものだ。

この前に岸田総理が与党に指示を出したときには5本柱ということを言っていた。「物価高対策」、「賃上げ促進」、「投資成長の促進」、「高齢化、人口減少対策」、「国土強靭化」と全部入った。
――今やるべきことは物価高対策で、その上で賃上げ成長戦略ということなのか。
BNPパリバ証券 中空麻奈氏:
5個あるとてんこ盛りでなにをやりたいのかという感じが若干しますが、ポイントは2番と3番で、国内投資を促進して収益を上げてずっと賃上げをしてくださいと。1回だけ上がってもしょうがないから、2024年も25年もずっと賃金が上がるぐらい成長してくださいということが大事だと思っています。2番、3番が効果的に出てくると、この経済対策は安心感が出てくるのだと思いますが、今のところ全部並べてしまうと、どれなのかという気もします。

日本は需給ギャップがプラスになってきた。
――こういう中で需要増を目指した政策をとるとどうなるのか。
BNPパリバ証券 中空麻奈氏:
物価高になってしまいます。需要がようやくプラスに出てきたということで、うまく供給力に資するような投資をやりたいわけです。投資をするときにこれは需要用です、供給用ですというのは難しいので、そこが本当にこれから困難だなと思います。

――日本の潜在成長率の低下を表しているグラフを見ると、コロナのときに100兆円対策までやっているから、何十兆円の対策をまた打ってくれとなるのだが、そういうことを今やるべきではなく、物価高対策と成長戦略に絞った対策が必要だ。
BNPパリバ証券 中空麻奈氏:
今こそせっかく良い状況で賃金も上がりそうで、他の国々の景気があやしくなってきている中で日本は安定しているわけです。こういうときに好循環を本当に好循環にしてもらって、「賃金は上がるんだ」とみんなが納得できるようなことを作りたいわけです。それがこの経済対策の中で投資という形で結びついてくるかどうかにかかってくると思います。
(BS-TBS『Bizスクエア』10月28日放送より)