三重・明和町では伝統を復活させるプロジェクトが始動した!

2023年4月からは、三重県明和町でも大麻を栽培するプロジェクトがスタートしました。

(明和町 世古口哲哉町長)
「麻文化の復活によって、明和町、三重県の発展につなげていきたい」

大麻の種は、やや平たい卵形で1つ5ミリほどの大きさ。取材した日は、4キロの種が畑に撒かれていました。場所は伊勢神宮と縁の深い斎宮跡の町有地。住宅地も近くにあり、誰もが近づける場所です。

種まきから半年、プロジェクトに神道研究の立場から加わっている皇學館大学の新田均教授と畑を訪ねました。もちろん、この畑で作られる大麻も薬物としての成分がない品種。それでも、無断で葉に触ることなどは法律で禁じられています。

(皇學館大学 新田均教授)
「ここは古代に麻績郷といって、麻を作って伊勢神宮に供える氏族がいた場所。麻に関する神社や地名がいっぱい残っている」

明和町では、1000年以上前から大麻の栽培が行われ、その名残として「麻」にまつわる神社や地名が多くあります。しかし今は栽培農家はゼロに…伝統文化の継承のため、地元の自治体と大学、企業がタッグを組んだのです。

新たな商品開発につながる大麻 今後も規制緩和の見込み

麻製品を取り扱う明和町の店も、このプロジェクトに期待を寄せています。

(麻福 北村隆匡社長)
「日本の麻の原料の商品を求めている方がたくさんいることは、いつも感じている。ただ現実として、できなかったのが今までの行政の制度だったので。それが三重県の新しい試みの中では、(国産の麻が)現実味を帯びてきたので楽しみ」

今のところ、栽培した大麻は全て神事向けに出荷されるため、麻の糸や布に使える分はありません。しかし今後 、タンパク質などが豊富な麻の実を、食品の生地に練り込んだ商品として販売できないかと考えています。

(麻福 北村隆匡社長)
「例えば私どもがやっている食品であれば、国産麻がたくさんなくても一部の実の部分だけでも練り込むことで、一般的に流通できる商品として提供できる可能性があると思う」

大麻をめぐっては、国が大麻取締法の改正を検討中。海外では多くの国で認められている「医療用大麻」の解禁などが盛り込まれ、薬物成分のある品種についても栽培できるようになる見込みです。利益が出る新たな商品作物としても、期待されているのです。

(伊勢麻 松本信吾会長)
「規制が緩和されてめでたしめでたし、ではなくて、門を叩いてくれる若者がこれからどれくらいいるか。その子たちが家族を養えるような仕事にしないと、後に続く人が現れないので。これから、それを実現していくしかない」

古来からの日本文化の「継承」と、商品作物としての「未来」…大麻栽培の新たな試みの行方が注目されています。

CBCテレビ「チャント!」10月24日放送より