クイーンズ駅伝の3区を誰が走るのか?

中野はチームの特徴を質問され、次のように答えた。
「幅広い年齢の選手がいるのですが、若い子のエネルギッシュなところも、ベテランの経験も生かせている。チーム一丸になれていると、最近はよく感じています」

32歳の中野は前所属だった19年に世界陸上ドーハ大会マラソンに出場し、翌20年6月に岩谷産業に入社した。キャプテンの安井も32歳のベテランで、21年3月の入社。26歳の前田も今年4月に入社。移籍組が活躍している。

その一方で入社4年目の川村、2年目の若井、ルーキーの久木、7年目の青木は関西の大学を卒業し、岩谷産業に新卒で入社した選手たちだ。

7年目のプリンセス駅伝初優勝は、早かったのか、遅かったのか。
「年々ステップアップできて、今年は5位以内を目標にしていましたから、早かったのかな、と思います。しかし今年は(1週間前の)MGCが重なり、他のチームがベストメンバーではなかったので、何とも言えない状況です。ただ、プリンセス駅伝に向けて良い練習ができたのは確かです」と廣瀬監督。以前は故障者が出るなどして、駅伝を走る選手が6人しかいないことが多かった。しかし今回は、9人が駅伝に向けての練習をしっかりできていた。まったく同じメニューを行っていたわけではなく、想定する区間の距離や持ちタイムなどに応じて、個別のメニューも組みながら足並みが揃っていた。

「過去6年間はできなかった練習が、今年はできました。ピースが上手くはまって来ました」

多彩なメンバーとなったことを、青木が初優勝のテープを切ったことが象徴していたかもしれない。

「私は創部からのメンバーですが、笑顔でゴールできてうれしかったです」

8位以内を狙うクイーンズ駅伝ではエース区間の3区を中野が務めるかもしれない。マラソンだけでなく5000mと10000mのチーム記録も持つ。川村は1500mのスピードや競り合いの強さがあり、1区の可能性が大きいが3区でも快走が期待できる。若井はスタミナ型なので5区候補だが、走力自体がアップしているだけに3区の可能性もある。

クイーンズ駅伝の走りが楽しみなチームが、また1つ増えたプリンセス駅伝になった。

(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)