都市型クマ『アーバンベア』の存在

クマの人里での出没が増えている理由は餌不足“以外”にもありました。

【新潟大学農学部 箕口秀夫教授】
「アーバンベアと言われているのは、私達の生活の場所に出てくるクマ。人里に降りるクマが今、どんどんどんどん増えているという状況です」

2015年に撮影された阿賀町の人里近くに現れたクマの様子を見ても、威嚇の爆発音にも動じず、車が通り過ぎる音でやっと反応していました。
警戒心が強いとされるクマが、人間に慣れている様子がうかがえます。

【新潟大学農学部 箕口秀夫教授】
「餌を探して食べ物を探してヒョイっと出てくると、もう人里になってしまう…。それは新潟県だけではなくて多くの中山間地で起こっているし、もっと人口の多い都市などにも、同じような場所ができあがっている」

こうした“アーバンベア”が増えている理由について箕口教授は、農村地域の高齢化や過疎化によって耕作放棄地が増えたり狩猟者が減り、クマと人との距離が近くなったことなどがあると考えています。
野生動物の住みかと人間の居住地との境界があやふやになっているのです。

箕口教授は、クマを人里に招かないために、餌となる果実を放置しないことや生ごみを適切に処理するといった対策に加え、長期的な取り組みも必要になると指摘しています。

【新潟大学農学部 箕口秀夫教授】
「私達が暮らしている場所と動物たちが暮らす場所との間にわざと、動物たちが行動しづらいような環境を作り出してあげること。時間がかかるかもしれませんけれども、これを計画的に進めていく必要がある」

人間とクマは今後どのように共存していくのか…。
模索が続きます。