今年で最後の開催となった中学校陸上競技大会。様々な部活動の中学生が競い合う沖縄ならではの大会は、最後まで盛り上がりを見せました。

65年の歴史に幕 沖縄独自の“地区陸上”

学校や部活動の垣根を超えて、県内6地区の予選を勝ち抜いた選手が参加する県中学陸上。

戦後復興時から65年間。地元の地域を代表して競い合う貴重な大会として親しまれてきましたが、教員や生徒の負担などが課題となり、今年で最後の大会を迎えました。

中体連 平良会長
「九州とか全国につながる大会ではないんですけど、学校が一つになって取り組みをしながら、その中で互いに友情をはぐくんだり、表情が生き生きとして一人一人が一生懸命、走る、投げる、跳ぶ、姿を見ることが出来てとても嬉しく思っています」

女子トラック種目に出場したのは、阿嘉中学校3年生の金城空良さん。
かつて陸上選手だったお父さんと、島で二人三脚の練習に励んできました。

阿嘉中学校3年 金城空良さん
「普段は一緒にできる人数も違うし、環境もあんまり整ってなくて、中学校最後の大会なので、全力を出して悔いの残らないような、満足いく結果にしたいです」

普段は、陸上競技場のない阿嘉島での練習。整った環境で存分に走ることが出来る今大会は、空良さんにとっても中学3年間の集大成の舞台となります。

持ち前のバネを活かし、後半の伸びが特徴の空良さん。各地区の俊足ランナーが集った100m走では3位に。

そして最も得意とする100mハードルは、ハードルを軽快に飛び越え、ぐんぐんとスピードに乗ると、2位以下に1秒以上の差をつける圧巻の走り。
自己ベストをマークし、金メダルで有終の美を飾りました。

阿嘉中学校3年 金城空良さん
「去年とかはあんまり練習が好きじゃなくて少しさぼってたけど、この1か月間はしっかりたくさん練習して、ちゃんとやりきった感じがあるのでとてもいい大会になったかなと思います」

強肩自慢が集ったフィールド競技・ジャベリックスローには、学校の部活やクラブチームで活躍する球児たちが揃いました。

伊江中野球部でピッチャーを務めてきた宮本浩亜は、3投目に66m47のビッグスローを見せ、全体トップで予選を通過します。

しかし上位8人が進んだ決勝。うるま東ボーイズでプレーする与勝中・島袋譲の、最終6投目は67m30!

最後の1投で、大逆転を果たし県内の強肩ナンバー1の座を射止めました。

中頭地区 島袋譲さん
「この記念すべき大会で1位になれたのはとても嬉しいです。野球では甲子園目指して頑張ります」

大会の締めくくりとして行われた男子4×100mリレー。各地区のプライドがぶつかりました。

混戦となったレースは、第3走者。中頭地区はハンドボール部の喜瀬真生が快走を見せ、トップに立つと、最後はアンカー津堅洸希が見事1位で駆け抜けて最後のリレーで喜びを分かち合いました。

中頭地区2走 寺崎翔大主将
「めっちゃ楽しかったし今年で終わりなんですけど、またあったら見に行きたいと思いました」

各地区を代表し、これまでの練習の成果を見せた選手たち。65年目を迎えた最後の大会で見事、地区別の優勝を果たしたのは国頭地区でした。

拍手を受けながら、全員でトラックを1周。65年分の喜びを分かち合い、県中学陸上大会の長い歴史に幕を閉じました。

県中学体育連盟は「残念ながらこの大会は無くなるが、今後も日ごろの部活動を通してチームワークの大切さを学び、体力や技術の向上に繋げてほしい」としています。