きのう(15日)東京で行われたパリ五輪の日本代表選考会マラソングランドチャンピオンシップ「MGC」。パリを目指し、前田穂南選手ら4人が挑んだ天満屋選手団の舞台裏を取材しました。

(松村みなみ記者リポート)「レースの発着点となる国立競技場です。雨が降っていてかなり肌寒く感じます。この雨がレースにどのような影響を与えるのでしょうか。一発勝負の大一番。この後スタートです」

MGC連覇を狙う前田穂南選手ら天満屋勢4人は、直前合宿で積み重ねた練習を自信にレースを迎えます。その頃。

(天満屋応援団)「皆さんの思いをのせて頑張りましょう」

岡山から駆けつけた約100人の天満屋応援団です。選手直筆の思いが書かれたスティックを持ち沿道に立ちます。

(応援団)「きのうからワクワクしてました。4人みんながんばって走ってもらいたい」

2位までがパリ五輪代表に内定する一発勝負。運命のレースが始まりました。

(号砲)「パン」

事前に自分のペースで走ると語っていた前田選手がレースを引っ張る展開に。

(前田穂南選手(天満屋))「練習がしっかりできたというのが自信にはなっている」

第2集団には、谷本観月選手、松下菜摘選手、大東優奈選手の姿が。実は…。

(松下菜摘選手(天満屋))「打ち合わせして集団で行こうっていう感じで。チームメイトがいたんで楽しんで走れました」

一丸となってパリを目指すチーム天満屋。しかし、雨はますます強まります。13キロ手前ではオリンピアンである天満屋OGの坂本直子さんと重友梨佐さんの姿も。

(元天満屋 ロンドン五輪マラソン代表 重友梨佐さん)「かなり緊張感がある試合というのも経験できることが、多分これからの競技にもすごくつながってくる」

(応援)「前田ファイト~」

「多分余裕を持って自分のペースで行っている感じなのかな」

そんな中、松下菜摘選手が徐々に先頭集団に近づきます。

(松下菜摘選手(天満屋))「私はもうペースを上げたつもりはなくて、イーブンペースでいっていたのかなと」

気が付いたら前にいたと話す松下菜摘選手。17キロ手前で追い付くと、ともに練習を重ねた前田穂南選手とともに先頭を引っ張ります。

(応援団)「ファイト~」
「松下いつの間に(笑)!」

しかし23キロ過ぎでした。資生堂の一山麻緒選手が飛び出すと、天満屋勢はついていくことができません。松下選手は濡れた路面で転倒するアクシデントもありましたが、最後まで粘り5位に。

(松下菜摘選手(天満屋))「天満屋といえば粘りの走りだったので、今回本当に上位にチームメイトもいたんで良かったです」

谷本観月選手も、選手を次々と追い抜き6位に。

(谷本観月選手(天満屋))「練習も一番今までのマラソン練習の中でできていたので、これが私の集大成でした」

連覇を狙い懸命に前を目指した前田穂南選手は7位に終わりました。

(前田穂南選手(天満屋))「雨の中では2回目のマラソンになるんですけど、身体がだんだん固まってきた。ファイナルチャレンジにむけて頑張りたい」

先輩の背中を追いかけた大東優奈選手は13位でした。

(大東優奈選手(天満屋))「先輩方のように大きい舞台でもしっかり戦っていけるような強い選手になりたい」

(応援団の子どもたち)「また応援するからね」

レース後、選手は家族や友人の元へ。

(前田穂南選手の母親)「大丈夫大丈夫」「頑張るの?」

(前田穂南選手(天満屋))「うん」

(前田穂南選手の母親)「次、がんばるそうです」

涙を見せた前田穂南選手ですが、パリ五輪の夢は途絶えたわけではありません。来年1月と3月の大会で、設定記録の2時間21分41秒を突破し、日本人最上位になれば3人目のマラソン日本代表に内定します。前田選手は出場を予定しているということです。