6日から山口県宇部市で始まった「まちじゅうエヴァンゲリオン第3弾」。今回の呼び物の1つが、ときわ公園の彫刻の丘に突き刺さる〝ロンギヌスの槍〟だ。
この槍は地元企業の宇部スチールが去年夏から構想を練って完成させたもので、高さは7メートルの鋳鉄製。社内の2~30代のエヴァ好き社員が会議で提案し、その足で営業担当が市に売り込みに行った。
「ロンギヌスの槍を作らせてください、我が社にはその技術があります!」とPRするその様子は、まるでプロボーズだったと山根久雄社長は語る。
宇部近郊で出たスクラップを活用し、宇部の鋳造工場でロンギヌスの槍。破壊と再生をもたらすこの槍にぴったりな製造方法だと筆者は感じた。

エヴァンゲリオンをご存じない方のために、少し説明をすると、宇部市出身の庵野秀明さんが原作・総監督をつとめ、1995年からアニメもスタートした。
〝エヴァンゲリオン〟正式名称は「汎用人型決戦兵器 人造人間エヴァンゲリオン」。巨大な〝エヴァ〟を操縦できる選ばれし少年少女らが、未知の生命体、使徒と戦うといった内容。主人公のリアルな心理描写や、見る人それぞれに解釈が生まれる難解なストーリーは、多くの考察をよび、それらを語り合うという楽しみ方も見いだした。
2021年にはシリーズの完結編となる映画「シン・エヴァンゲリオン劇場版」が公開され、同シリーズ初の興行収入100億円を超える有終の美を飾った。
そのエヴァンゲリオンに登場する主要アイテムの1つが、今回お披露目された「ロンギヌスの槍」。

エヴァンゲリオンの著作管理を行う、グラウンドワークスも監修に加わり、綿密な打ち合わせのもと作られた「ロンギヌスの槍」は柄の二重らせん構造もみごとに再
現されており、ファンも納得の完成度だ。現地を訪れた人が槍の間をくぐったり、触ったりできるようになっている。
彫刻の丘に刺さったロンギヌスの槍は、写真に写すとまた違う表情を見せてくれる。空も同時にいれることで、移りゆく季節の雲と槍が幻想的に映えるのだ。
しかし、なかにはこう思ったファンもいるのではないだろうか。「あれ、赤色じゃないんだ」実際現地を訪れたファンからはそのような声も聞こえた。
案ずることなかれ。鋳物の色のシンプルさもかっこいいのだが、これが夜になると一変する。