住み慣れた家で暮らしたいと願いつつ、それが難しくなる高齢者は少なくありません。遠方に住む子どもなどが支える場合、その負担は重く、介護を理由に仕事を辞めざるを得ないケースもあります。そんな状況の改善に一役買いたいと山口県周防大島町で起業し、支援サービス「netto」を始めた男性がいます。どのようなサポートで高齢者の暮らしを支えているのでしょうか?
高齢化率55.5%の周防大島町 高齢者の生活支援サービス
末弘隆太さん、39歳。
買い物を終え、手にはさまざまな食料品が。
netto・末弘隆太・代表
「きょうのお昼ごはんに使うお魚だったりとか豆腐とか。本人が好きな物とかいつも食べられている物」

この日向かったのは、1人暮らしをする97歳の女性の自宅です。
末弘代表
「お変わりないですか?大丈夫?」

瀬戸内海に浮かぶ島、周防大島町。

人口およそ1万4000人で、このうち65歳以上の高齢者が7700人あまり。高齢化率は県内で2番目に高い55.5パーセントです。
末弘代表
「その人の生活のバックグラウンド、全体を把握してる1人の人が責任を持って毎日訪問をしていけたほうが、やっぱりご家族としては安心して頂けるし、ご本人も安心して頂ける所が多いのかな」
料理や洗濯、買い物、通院の補助など、介護保険では対象とならない日常生活のサポートや困りごとを請け負うといいます。大田幸江さんは5年前に脳梗塞を患い、手足が思うように動かなくなりました。週に3日、末弘さんが訪れ生活のサポートをしています。
末弘代表「大丈夫そう」
大田さん「腫れてない?」
末弘代表「今は腫れていない。よかったですね」
大田さん「痛くもない」

健康状態を確認するため血圧や体温を測り、リハビリのための体操をします。
末弘代表
「きょうメバル買ってきました。メバル」
大田さん
「メバル?それはおいしいやろ」
末弘代表
「半額なんよ」
昼食と夕食の準備です。
末弘代表
「お魚がすごくお好きなので、できればお好きなものを食べて頂きたいなと思って」

独学で上達したという末弘さんの料理は利用者に好評です。魚の煮つけやおすしなど大田さんの好きな料理が並びます。
大田さん
「食べ物もやってくれてじゃし、とにかく助かっています。頼って信頼しています」

一緒に洗濯ものを干し、翌日のデイサービスの準備をします。
大田さんの娘
「どうしても広島と、姉も周南だから、すぐには来られないですし、お互い仕事持ってると、いつもいつも帰れないし、本当に助かってます。姉の所に来ないかって言ってはくれたんですけど、やっぱり自分の家がいいって」
末弘代表
「週末ごとにおうちの方に帰省されて、親の面倒というか、家の介護とか仕事をして、また帰って行って向こうで平日は仕事をしてとかっていうのが、すごい大変そうだったので、本当に介護の負担を減らしたいなって」
