広がる支援の輪…地域医療と連携も

netto・木村亮祐さん
「おはようございます。お願いします。」

「netto」のスタッフ、木村亮祐さん。去年まで岩国市の病院に理学療法士として勤務していましたが、今年4月市内で個人事業主として開業しました。この日は応援で周防大島町内の96歳の男性の自宅を訪れました。

木村さん
「背中やら、かゆくないです?」

この男性がサービスの利用を始めたのは「認知症が進み、栄養状態もよくない」とケアマネージャーからnettoに寄せられた相談がきっかけです。

木村さん
「どこかの組織に属していたりとか介護保険を使っていくと、やっぱり制約があったりとかで。希望に完全に添えない部分も出てきたりして、そのあたりがちょっと、もやもやってする所もありまして。そういう時に末弘さんがやっているような活動を耳にして」

末弘さんの事業に共感し、「利用者の要望に寄り添いたい」と、サービスの提供に加わりました。

木村さん
「ありがとうございました。失礼します。」

訪問の後は毎回、写真と一緒に利用者の状況を家族に報告します。

末弘代表
「横浜にいる娘さんも、毎日お父さんの写真が送られてきて、何食べたかとか。どんな表情でどんな生活をされているかが、離れていても分かるっていう形を取らせてもらっています」

高齢者の在宅生活を一緒にサポートする訪問診療医や訪問看護師、ケアマネージャーとの連携は欠かせません。利用者の7割がケアマネージャーからの依頼です。

松福介護相談所・一山知子・介護支援専門員
「nettoさんがいない時はそこをケアマネージャーが動くしかなかったりとか、ちょっと諦めて頂くしかなかったりという所があったと思うんですけど、それをnettoさんがやってくれる事で私たちも希望者さんの利用者をかなえてあげられるし」

事業を始めた当初は末弘さん1人でしたが、現在は県内外で7人がサービスを提供しています。スタッフ全員が理学療法士や作業療法士、看護師などの資格を持っていて、病院や福祉施設を辞め個人事業主として開業しています。

増える介護離職…高齢者とその家族を支えるサービスに

末弘代表
「違う働き方の選択肢が一つ提示できたら、いいのかなっていうふうには思っています。それで助かる利用者さんが増えたりとか、社会的に介護離職しなくていい人が増えたりしたら、それは結果的にすごくいいことだと思うので」

身近な人を介護するために仕事を辞める「介護離職」は全国で年間10万人に上ります。離職したことで経済的に困窮したり社会から孤立するケースも少なくなく、社会問題の一つになっています。

末弘代表
「社会に求められるかぎりは、自分たちができることをできる範囲でやっていけたらいいなっていうふうには思います」

1人で暮らす高齢者とその家族を支える暮らし支援サービス。高齢化や晩婚化が進む中介護支援の新たな選択肢を提示しています。