◆陸上競技2日目(9月30日)決勝種目◆
20:00 男子ハンマー投
20:05 男子棒高跳
21:00 女子400m
21:10 男子400m
21:20 男子10000m
22:40 女子100m
22:55 男子100m

アジア新記録の6mジャンプが見られるか

今大会注目の選手の1人、E.J.オビエナ(27、フィリピン)が男子棒高跳に出場する。オビエナは今年8月の世界陸上ブダペストで6m00のアジア・タイ記録で銀メダル。今のアジアに敵はいない。焦点は自身が持つアジア記録を更新できるかどうか、だ。

オビエナは棒高跳選手だった父親の影響で、6歳から棒高跳を始めた。5mのバーを初めて越えたのは14年、18歳の時だった。そのシーズンから毎年のようにフィリピン記録を更新し、16年に5m50を超えた。しかし17年に左ひざを手術し、同年は7月の試合が最後になった。18年は自己記録が更新できなかったシーズンで、前回のジャカルタ・アジア大会も5m30で7位と敗れた。

しかし19年には世界大会で上位が争える5m80を超え、21年に5m93とアジア記録を更新。今年6月にノルウェーでアジア人初の6m台を達成し、8月の世界陸上で自身2度目の大台をクリアした。

棒高跳で世界初の6mジャンパーとなったS.ブブカ(ウクライナ)や、女子棒高跳世界記録保持者のY.イシンバエワ(ロシア)を指導したV.ペトロフ氏の指導を受けている。ブダペストでも銀メダル獲得後に「世界で最も偉大なコーチ」と賛辞を惜しまなかった。

オビエナ以外の選手で自己記録が一番良いのは、姚捷(32、中国)で5m82。オビエナの優勝は5m80か5m90で決まるだろう。6m01に上がったバーに挑戦するオビエナを見られそうだ。

男子400mはダブル佐藤決戦 アジア記録保持者が加わる可能性も

男子400mは陸上競技初日(9月29日)に予選が3組行われ、2組の佐藤拳太郎(28、富士通)が45秒57で1位、3組の佐藤風雅(27、ミズノ)も45秒56で1位。ダブル佐藤がそろって1位通過を果たした。

7月のアジア選手権も、準決勝が似たような結果だった。1組で佐藤風が45秒61で、2組で佐藤拳が45秒64で、ともに1位通過した。決勝は佐藤拳が45秒00(当時日本歴代2 位)で優勝し、佐藤風が45秒13で2位。

違いはアジア選手権は予選・準決勝・決勝と3ラウンドあったのに対し、今回のアジア大会は予選・決勝の2ラウンドであること。疲労は今回の方が小さいはずで、記録はアジア選手権より良くなる可能性が大きい。

8月の世界陸上予選で佐藤拳が44秒77と、高野進が91年に出した44秒78の日本記録を32年ぶりに更新した。準決勝は佐藤拳が44秒99と記録を少し落としたのに対し、予選は44秒97だった佐藤風が44秒88と記録を上げた。佐藤風は前半200mを、21秒0台の速さで通過できたことが自己新につながったという。

日本選手2人の金銀を期待してしまうが、外国勢がそれを簡単に許すとは思えない。アジア記録(43秒93)保持者のY.A.マスラヒ(35、サウジアラビア)は、アジア選手権でも残り100mまではトップを走り、ダブル佐藤に抜かれた後も粘って3位を確保した。予選1組1位のK.K.ヘワクマラゲ(31、スリランカ)は、アジア選手権には出場していなかったが、7月末に45秒07と自己記録を0.57秒も更新した選手。

ヘワクマラゲのレースパターンがわからないが、アジア選手権同様前半からリードするのはマスラヒだろうか。アジア記録は8年前になるが、まだまだ侮れない存在だ。だが世界陸上で前半のスピードの出し方を会得した佐藤風が、マスラヒの前を走る可能性もある。

前半型の2人が逃げ切るか、佐藤拳がホームストレートで逆転するか。いずれにしろ、最後の100mまで手に汗握る展開になる。