10月1日から新たに始まるインボイス制度。インボイスは商品の税率などを記載した請求書のことで、これを交付して消費税の流れを明確にする制度です。

雑貨品などを小売り店へ出品するとき200円で販売した時は消費税は20円です。この品を店が消費者へ300円で販売した時は消費税は30円です。この場合、インボイスを登録したとき、出品者は20円を納税しているので仕入れ額は控除され、店が納税するのは30円から20円引いた10円となります。インボイス制度は消費税を誰がいくら払ったかを明確にしますが、様々な問題も指摘されていて青森県内の事業者は不安を隠せません。

青森県外ヶ浜町で食料品や日用品を販売するマツオスーパーです。インボイスは去年4月に申請をして登録を完了させていました。これからは登録した事業者に割り当てられる数字がレシートなどにも記載されることになります。

ただ、インボイス制度の開始にあたって、社長の石岡明沙実さんは不安を隠せません。

マツオスーパー 石岡明沙実社長
「よくわからないけど、登録していないと取引業者に迷惑がかかるだろうなという、よくわからないけどというところからのスタート」

インボイス制度では小売店にとって仕入れ額は控除されることが大きなポイントです。ただ、出品者がインボイスに登録していないうえ、2年前の年間売り上げが1千万円以下の免税事業者だった場合、仕入税額の控除はありません。この場合では出品者は納税せず、小売店が30円納税します。この免税事業者がマツオスーパーでは取り引き先に数社あります。そこで苦渋の決断をしました。

マツオスーパー 石岡明沙実社長
「インボイスを登録していないから取引しないというのは無理な話なので、申し訳ないけど売り上げからいただく手数料を少し上げさせていただくという対応にする予定でした」

免税事業者には手数料の値上げを求めることにしました。こうした免税事業者との取り引きは青森県内の事業者で大きな課題となっています。東京商工リサーチが8月行った調査ではインボイス制度が始まった場合、免税事業者との取引について検討中とした企業は約27%にのぼり、対応に苦慮していることがわかりました。

今・兼平税理士法人 今孝彰税理士
「特に地方の場合、取引のお互いが中小・零細企業である場合が多い。例えば課税事業者であったとしてもそれほど経営に余裕のない事業者が多い。そういった事業者が今まで通り免税事業者との取引を続けるということになれば消費税の負担が増えますので大変厳しい選択になる」

インボイス制度の開始が10月1日に迫るなか、全国の中小事業者から不安の声が上っていることから岸田総理は29日開いた関係閣僚会議で10月とりまとめる経済対策に事業者への支援策を盛り込むよう指示しています。