人手不足で…個人タクシー運転手「80歳」まで可能に

国土交通省は、個人タクシー運転手の年齢の上限を80歳に引き上げる方針を示しました。

個人タクシーは現在、人口30万人以上の地域でのみ営業が認められ、運転手の年齢は75歳までとされています。

一方、案では、個人タクシーの経験が1年以上あることなどを条件として、過疎地域でも営業を認め、運転手の年齢の上限を80歳までとするということです。

法人タクシーでは、法律上、年齢の上限がありませんが、個人タクシーでも上限を引き上げ、運転手のなり手不足を補おうという考えです。

個人タクシー運転手(71)「個人タクシーだけが75歳で定年が決まっているのは、おかしいと思っていた。収入はほしいからね。80歳でもそれ以上でも働けるなら働きたい」

個人タクシー運転手(72)「過疎地の人にしてみたらウェルカムじゃないの?(ただ自分は)東京の方が稼げるから」

ただ、利用者からは懸念の声も…

男性(50代)「自分の父もそれ(80歳)くらいの年齢だけど、運転免許を返納している。注意力とか落ちているはずなので、ちょっと怖い」

男性(30代)「年齢を延ばすのであれば試験とか厳しくしたり、しっかりしたら良いと思う」

タクシー運転手の数(個人タクシー除く・3月末時点)は、▼2019年の29万人1516人から▼2023年の23万1938人と、約20%減少しています。(全国ハイヤー・タクシー連合会調べ)

高齢化率が44%を超える千葉県長南町では、2023年3月に町内を走る巡回バスが廃止され、住民の“生活の足”に影響が出ていました。

女性(87)「どこに行くのもタクシー」

女性(67)「どこも買い物にも行けないし、近くにスーパーもないから。長南町にタクシー会社が2つあるんですけど、利用する人が結構多いみたい」

高齢ドライバーが運転することに理解を示す住民もいました。

男性(85)「車がないと生活できない。高齢者は高齢者なりに安全運転すると思いますけどね。まして営業用だったらさ」

政府は、都市部で経験を積んだ運転手が地方にUターンやIターンをしても働けるようにすることを想定していて、10月にも施行される予定です。

タクシーの人手不足をめぐっては、外国人ドライバーやライドシェアなど、さまざまな議論がなされていますが、今回の年齢の上限引き上げに専門家は…

千葉商科大学(労働社会学)常見陽平 准教授「高齢者のドライバーの是非を問うときに『危ない』『働かせるのか』とか論理があるけど、世の中全体で若者が減っていきます。今だからそういった意味で女性・高齢者・障害者・外国人という状況になっています」