熊本県が企画したコロナ禍の旅行支援事業の助成金受給を巡り、県幹部が不適切な助成を見逃したとされる問題でそのやり取りの一部がRKKの取材で新たに分かりました。

今月7日、報道機関に届いた公益通報者保護法に基づく外部通報によりますと、熊本市のTKUヒューマンが県の旅行助成金を使ったコロナ禍の旅行支援事業「くまもと再発見の旅」で要件を満たしていないにも関わらず助成金を受け取っていた疑いがあるということです。

この問題について通報では県の幹部が担当課に不適切な受給について見逃しを指示した可能性も指摘されていてそれによる不適切な受給額はおよそ2000万円にのぼるとしています。

この「見逃し」と指摘されたやり取りの一部をRKKは入手しました。

やり取りは今年2月県庁でのものとみられていて不適切な受給か否かについて県の幹部が調査を渋るような内容になっていました。

当時の政策審議監が部下に「どこまで厳密に1ミリの誤りもなく(調査を)するかどうか、そこまでするべきかっていうのはだいぶ言われてらっしゃいましたね」と発言。

これに対し、部下が「え、だいぶ言われたって、Aさん(審議監の上司)からですか?」と返すと、政策審議監は「うん」と答えました。

さらに部下が「今まで私たちがその事業者さんたちに対して指導してきたものと違う解釈をもって、これ(不適切受給)をなかったことにするってことですか?」と言うと、政策審議監は「そこをAさんが(上司)うまくやれって」。

また、RKKが入手した資料では部下が「2000万円ってなんですか2000万円って税金ですよ税金で被るってことですか?」と発言したことに対し、他の県幹部とみられる人物が次のような指示をしていました。

県幹部B「制度は県が決めるんだろ。そこで県で、表からいろいろ言われても、できる範囲でよ、そこ(受給可能な条件)を決めるようなところで今から考えてくれって」

このやりとりについて審議監(当時)はRKKの取材に対し「上に言われたことを伝えた」と話し、もう一人の県幹部Bは発言を否定しています。

では、当時の審議監のいう「上からの指示を伝えた」という主張について、地方政治に詳しい熊本大学の伊藤洋典(いとうひろのり)教授は…。

熊本大学 伊藤洋典 教授(政治学)「県は補助事業を認可する立場ですので、その立場が強いということ。そして、もう1つは税金を使った補助事業ですので、(公務員として)県民全体・国民全体の奉仕者としての立場があるので『(上からの指示を)そのまま言っただけだ』ということでは済まないのではないか」

蒲島知事はこの問題について調査する方針を示していて、TKUヒューマンは「調査が行われた場合は、真摯に対応します」とコメントしています。