中国の「治安管理処罰法」の改正案が物議を醸しています。「中華民族の精神を損なう」行為を禁止するとの内容が盛り込まれていて、法律の専門家などが相次いで懸念を表明しています。

中国の国会に当たる全人代=全国人民代表大会は「治安管理処罰法」の改正案について現在、国民から意見を募集しています。

改正案は、中華民族の精神を損なうとされる衣服やアクセサリーの着用のほか、記事の作成などを違法行為とし、違反すれば最大で10日以上15日以下の拘留と、日本円でおよそ10万円以下の罰金を科すとしています。

これについて刑法学が専門の清華大学の労東燕教授は「『中華民族の精神を損なったり、感情を傷つけたりする』という文言は極めてあいまいだ」「権力の乱用が生じやすくなる」と反対し、関連する条文の削除を提案。

華東政法大学の憲法学の教授も、「『中華民族の感情』を誰がどのような手続きで、決定するのか?」「法治主義のもとではほぼ運用不可能な大問題だ」と指摘するなど懸念の声が相次いでいます。

中国では4年前に、結婚式で旧日本軍の軍服のような服を着た新郎の動画をネット上に公開したとして、中国人の若者6人が警察に拘束されるなど、これまでにも服装をめぐる拘束事案が起きています。