あることをすると色が変わる全国的にも珍しい日本茶があります。県内で唯一生産している農家を取材すると、そのお茶にはある思いが込められていました。

後生川 凜 アナウンサー「一見普通の緑茶ですが、レモン果汁を入れると…赤くなってきました!」

緑色から鮮やかな赤色に変化したのは、「サンルージュ」という希少な日本茶です。色が変わる秘密は、この日本茶に豊富に含まれている「アントシアニン」という成分。pHによって色が変化する性質を利用したものです。

後生川アナ「緑茶の苦みや渋みはありつつも、レモンの酸味が加わりさっぱりとした味わいです」

色の変化が楽しめるお茶として注目される「サンルージュ」は、全国でも数軒の農家しか作っておらず、県内では、大津町の瀬川製茶だけです。

作り始めたきっかけは、11年前の九州北部豪雨でした。

瀬川製茶 瀬川社長「泥だらけ、流木、岩だとか。電柱、防霜ファンというんですけど、これも倒れて、水で流されていた」

濁流が流れ込み、壊滅的な被害を受けた茶畑。畑を再生するにはお茶の木を全て植え替えるしかなかったといいます。

瀬川社長「植え替えをする際に、先を見越して若い世代に注目されるようなという思いもあって。腹をくくって、紫色の新芽を持つ『サンルージュ』を植えようかと」

再生の道のりは険しいものでした。

水害の影響で土壌から回復させねばならず、出荷できるようになるまで約10年かかったのです。

瀬川社長「試行錯誤して誰ももっていないようなものが、やっと自分のところだけで茶摘みできるようになったので…もう…うれしいですね。」

被災した茶畑から生まれた復興のお茶「サンルージュ」日本茶の新たな楽しみ方を提案してくれそうです。

「サンルージュ」は道の駅・大津などで販売されているほか、「瀬川製茶」のHPからも購入することができます。