*2023年9月7日掲載の記事です。松月堂製パンは9月25日、継続して製造することを発表しました*
山口県宇部市の人にはおなじみ、「牛乳パン」を製造する松月堂製パンは、スーパーなどで販売している「包装パン」の製造を今月末で終了することを決めました。
その理由は、原材料や運送費の値上がりです。
牛乳パンは生地をねじって焼き上げ、優しい味とふわふわした食感が特徴で年間20万個を製造しています。
1960年から続くこの味が、消えようとしています。
松月堂製パン 井上聖子マーケティングディレクター
「包装パンって毎日の食事で気軽に食べられるっていうのがモットーだと思うので、それが本当にものすごい値上がりしていってってなると、日常における包装パンの意味が変わってくるのではないかと思って」
1934年創業の、松月堂製パン。
1953年から「包装パン」の製造事業を始めました。
包装パンとは、スーパーなどで売られている、袋に入ったパンのことです。2日前に注文を受けた商品を製造し、翌日県内外のスーパーを中心に納品しています。
「牛乳パン」や「さくらっ子」など60年以上親しまれているパンをはじめ、現在およそ30種類を製造していますが9月をもって終了することを決めました。
松月堂製パン 井上聖子マーケティングディレクター
「材料費や製造にかかる燃料費、輸送費などの本当にどんどん値上げしていて、たび重なる値上げで」
小麦をはじめ、卵や砂糖などすべての原材料の価格が高騰。
商品はトラック10台を使って輸送していますが、ガソリンの高騰など運送費の値上がりも影響しています。
通常2、3週間で入荷される包材も3か月待つ状況で、値上がりが続きました。
牛乳パンの定価は、2021年まで1個85円でしたが、去年1月以降段階的に値上げをし、現在は100円です。
松月堂製パン 井上聖子マーケティングディレクター
「上がっていないものがないので。やっぱり味も落としたくないし、だけどお値段はお手ごろのままでいたいし」
価格をできるだけ据え置くため、パンを小さくしたり個数を減らしたりするなど工夫をしてきましたが、単価が安いパンにとって、打撃が大きいといいます。今後は他社の委託を受けパンを製造する事業や、県内外に10店舗展開している直営店での製造・販売、学校給食への提供を続けていきます。
井上聖子マーケティングディレクター
「このパンだけは続けて欲しいとか、これはやめないで下さいっていうようなすごくうれしいお声も頂いたり、取り引き先の企業の方からも、『何個以上なら存続して作って頂けますか』っていうお話とかも頂いていたりするので、何かいい形で残せるものもないかなっていうふうにちょっと今揺れております」
親しまれた味を残そうと模索していますが、今のところ未定だそうです。
急激な物価の高騰は家計を圧迫するだけでなく、身近な食品にも影響を与えています。