来年2024年は五輪イヤーです。日本が世界に誇る体操競技でパリを目指しているのが、岡山市出身の柚木健大朗選手です。体操の強豪・関西高校を卒業し、世界を舞台に戦ってきた柚木選手。五輪に出場して金メダルを獲得する、夢への決意を語りました。

体操競技の平行棒で見せる美しい倒立。岡山市中区出身の柚木健大朗選手、26歳です。柚木選手の練習拠点は横浜市にある日本体育大学。オリンピアンに囲まれたレベルの高い環境の中で、日々、自身の技に磨きをかけています。

(柚木健大朗選手)「世界を経験している選手たちがいたり、指導者もみんな五輪に出場している人たちばかりなので、すごく刺激にもなりますし、いろいろなことを教えてもらえる本当に最高の環境だと思います」

柚木選手が体操競技を始めたのは3歳の頃でした。幼くして才能を開花させ、小学4年生の時には岡山県の強化選手にも選ばれました。そして、体操の強豪の関西高校に進学。体操競技部のキャプテンを務め、インターハイの個人総合で2位に輝いたほか、ロシアで開催されたジュニアの世界大会にも出場しました。

その後進学した日本体育大学でもキャプテンを務め、3年生から2年連続で種目別のW杯にも出場し、表彰台にも立ちました。世界を舞台に戦ってきた柚木選手。今、見据えているのが、来年開催の「パリ五輪」です。

(柚木健大朗選手)「小さいころからの自分の夢だったので、そこに向けてずっと小さいころから体操競技を続けてきたので、岡山の子どもたちの目標になれるような選手になりたいと思っていますし、パリ五輪で金メダルをとって岡山県の体操に貢献したい」

柚木選手は2020年に大学を卒業し、社会人チームの名門「徳洲会体操クラブ」で競技を続けてきました。「五輪に出場しメダルを獲得する」その夢を叶えるためにある決断をしました。

(柚木健大朗選手)「3年間在籍した徳洲会を退団して、プロ選手としての道を」

柚木選手が選んだのはプロの体操選手。社会人チームの整った環境ではなく自身の管理とあわせて、スポンサーを募り競技を続けています。より厳しい状況に身を置くことで、さらなる成長を図ろうと考えたのです。

(柚木健大朗選手)「自分で責任を持って練習のメニューもそうですし、日々の生活だったり、自分で全て管理して、五輪に向けて頑張っていきたい思いがあったので、本当に覚悟を持って競技に挑めています」

男子の体操競技は「鉄棒」「あん馬」「ゆか」など6つの種目から構成されます。柚木選手の持ち味は、すべての種目で安定した演技ができる「総合力」です。

(日本体育大学体操競技部コーチ 白井健三さん)「学生時代から年齢が1つ下で長くみている選手なのですが、とにかくぶれない選手。一つの技を覚えるのに対してもできるまでとことん向き合いますし、自分と向き合って、今何が必要なのかを探求できる選手であると思います」

なかでも得意とするのが、「つり輪」と「平行棒」。演技の中で見せる「倒立」は世界でもトップレベルだと言います。

(日本体育大学体操競技部コーチ 白井健三さん)「やはり逆さになる動作は各種目にありますが、(柚木選手の)逆さになったときの姿勢だったりとか、目を引くインパクトは他の選手よりあると思います」

こちらは平行棒で難易度Eの演技「パクニック」。ウクライナ人の選手が考案した「後ろ振り上がり前方宙返り開脚抜き腕支持」です。

(柚木健大朗選手)「日本で僕だけしかやっていない技なので、そこはかなり自信を持ってやっている技です。本当にまっすぐな美しい倒立っていうのを日々、心がけてやっているので、そこは一つ自分のアピールできるポイント」

レベルの高い日本の体操競技ではミスが命取りになります。今年5月のアジア大会の代表予選会。柚木さんは得意の平行棒でミスをし、あと一歩のところで代表入りを逃しました。

(坂本健太専属コーチ)「技の難度点は上位選手と同じ数値のものがあるので、ミスを出さないこと。技を上げていく練習もしつつ、ミスも出さない両方向からのアプローチが必要かなと」

現在、柚木さんは横浜市で生活を送っています。

(柚木健大朗選手)「けっこう困ったら電話をするので」

自宅では社会人チームの先輩で東京五輪の種目別「あん馬」に出場した亀山耕平さんから毎日、競技の相談やアドバイスを受けています。

(柚木健大朗さん)「迷うことがあったらすぐに聞いてみて、本当にすごく頼りにしています」

亀山さんからのアドバイスで続けていることが「目標計画表」です。大会の目標や練習でのテーマを記入したもので、自宅で常に目することで競技に対するモチベーションや集中力を高めようとしています。

(柚木健大朗選手)「こここぞっていう時に完璧に決めるのが、本当に強い人の条件であると思うので」

柚木選手とともに郷土・岡山の選手たちもパリを目指します。

(日本体育大学4年生・関西高校出身 土井陵輔選手(2022年世界選手権団体銀・ゆか銅))「僕たちが五輪の舞台に出ることで、岡山の子どもたちが体操に興味を持ってもらって、スポーツ自体を盛り上げていければ」

(柚木健大朗選手)「来年4月から代表選考が始まるので、今が一番人生で頑張らないといけない時だと思っているので、自分の人生をかけ挑んで行きたい」

五輪で金メダルを獲得し故郷の岡山に勇気を届けたい。柚木選手の思い描く夢への着地点です。