「いつ逝ってもいいように」終活中に漏らした“孤独死”への恐怖

別の日、近藤さんは愛知県知多市に墓参りに訪れました。知多市出身の近藤さんは毎年、お盆の時期に墓参りに来ています。
(ニワトリと暮らす近藤功久さん)
「おやじもがんですね。おやじが52歳の時に病院に入って、2週間かそこらですね」
約40年前に肝臓がんで亡くなった父・保政さんの墓前に手を合わせます。自分ももっと健康に気を使えたらよかったという近藤さん。大腸がんが見つかった時には既にステージ4でした。自分も一緒の墓に入ることを考え、墓は建て直しました。いつ逝ってもいいように、墓石には自分の名前も刻まれています。自分が亡くなったあとは、妹が墓の面倒を見てくれる予定です。
(ニワトリと暮らす近藤功久さん)
「余命宣告されていましたからね。いつ逝ってもいいようにというのはあったので。正直苦しいんですよ、抗がん剤の副作用って。下手すれば、病気より苦しいんじゃないかと思うときもある。こんな苦しい思いするんだったら、この延命治療やめちゃって、さっさと決められた(余命で)死ぬのもありだよな、なんて…」

孤独な闘病生活で、これまで何度も死を覚悟したといいますが、近藤さんには“死”以上に恐れていたことがありました。最後にお参りしたのは、身寄りがない人や、管理する人がいないお墓を集めた「供養塔」です。
(ニワトリと暮らす近藤功久さん)
「隣に誰が住んでいるのか分からないで、いつの間にか隣で亡くなっていたというのも、実際に自分の近所の部屋でもありましたからね。孤独死ですよね」
近藤さんが最も恐れていたのは、誰にも看取られることのない“孤独死”という人生の最期の迎え方でした。
4年ぶり!一緒に夏祭りへ「この子がつながりを作ってくれている」

2023年8月27日の「新栄祭」では、地域の店舗や企業がブースを出店し、大勢の人で賑わいました。新型コロナの影響で中止が続いていたため、開催は4年ぶりです。
(ニワトリと暮らす近藤功久さん)
「(この祭りは)本当に久しぶりですね。(きなこが)小さい頃なので、その頃から散歩には来ていた」
4年前、“きなこ”を飼い始めた頃に初めて訪れた夏祭り。今年も“きなこ”と一緒に参加することができました。近藤さんと“きなこ”の周りには子どもたちだけでなく大人も集まります。そこには、“孤独”を恐れる近藤さんの姿はありませんでした。
(ニワトリと暮らす近藤功久さん)
「『最近散歩に来てなかったけど、大丈夫?』とか言ってくれる人もいるので。この子がつながりを作ってくれている。ありがたいですよね、この子の存在は」
今日も、これからも、近藤さんと“きなこ”が一緒に過ごす日々はまだまだ続きます。
CBCテレビ「チャント!」8月28日放送より