搭乗者名簿にロシアの民間軍事会社「ワグネル」の創設者・プリゴジン氏の名前が載ったジェット機が墜落したことをめぐり、アメリカのシンクタンクは、プリゴジン氏が暗殺されたとの見方を示したうえで、「プーチン大統領が命じたのはほぼ確実だ」と指摘しました。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は、23日に起きたプライベートジェット機の墜落でプリゴジン氏が死亡した可能性が報じられていることをめぐり、分析結果を公表しました。

分析では、プリゴジン氏が起こした今年6月の反乱以降、クレムリンと国防省はプリゴジン氏の権威の弱体化を進めてきたとし、「ワグネルを排除するための最終段階だった可能性が高い」として、プリゴジン氏は暗殺されたとの見方を示しました。

そのうえで、「プーチン大統領が軍にジェット機の撃墜を命じたことはほぼ確実だ」と指摘。ショイグ国防相らが大統領の命令なしにプリゴジン氏を処刑する可能性は極めて低いとしました。

プリゴジン氏と近い関係とされ、ウクライナ侵攻でロシア軍の副司令官を務めたスロビキン氏の解任が墜落の前日に報道されたことについては「偶然ではないだろう」としています。そして、「6月の反乱がプーチン氏と国防省にもたらした屈辱に対し、プーチン氏の優位性を再び見せつけ、復讐を果たすための試みだった可能性が高い」と結論付けています。

一方、墜落があった23日、プーチン氏はウクライナと国境を接するクルスク州で第二次世界大戦に関連する式典に出席しましたが、墜落やプリゴジン氏への言及はありませんでした。

ウクライナ侵攻に参加する兵士らを前に、プーチン氏は「祖国への献身と軍への忠誠が特別軍事作戦の参加者全員を団結させる」と強調。改めて結束を呼びかけました。

また、アメリカのウォール・ストリート・ジャーナルは24日、アメリカ政府が今回の墜落について、暗殺計画によって起きたとみているものの、一部で報じられている地対空ミサイルでの撃墜ではないもようだと分析していると報じました。

アメリカ政府当局者への取材によるもので、「現時点の分析は不完全だ」としながらも、飛行機に仕掛けられた爆弾が爆発したか、何らかの破壊行為があった可能性があると伝えています。