2000年前の古代ローマの大型船が…
南フランスの街、アルル。街に面したローヌ川で大発見があったのは2011年、なんと2000年前の古代ローマの大型船が川底から引き上げられたのです。

全長30メートル以上もある平底船で、分厚い泥に埋まっていたため腐食をまぬがれ、ほぼ完全な形で出てきました。他にもワインやオリーブなどを運ぶために使った壺・アンフォラも大量に見つかり、古代ローマ人がローヌ川を使って物資の輸送をしていたことが分かってきました。この船は現在、地元のアルル古代博物館で見ることができます。番組でも撮影しましたが、沈没したときに積んでいた荷物まで展示されていて、2000年前の船とは思えないリアルさでした。

大発見のあったローヌ川はフランス四大河川のひとつで、全長812キロもある大河です。その源流はスイス・アルプスにある、その名もローヌ氷河。

昨年、番組の撮影チームがこの氷河に行ったのですが、溶け出した水が断崖を下り、小さな流れとなっていく・・・まさにローヌ川が生まれる瞬間を撮影することが出来ました。その小さな流れがやがて大きな川となり、スイスを抜け、南フランスを縦断して地中海へと注いでいるのです。



アルルは地中海沿岸のローヌ川の河口に近い街で、川からは古代ローマの英雄、ユリウス・カエサル(英語読みだとジュリアス・シーザー)のものと思われる胸像も引き上げられています。古代ローマ時代に「ガリア」と呼ばれていた南フランスは、カエサルによって征服され、アルルはこの地方を支配する拠点として大都市になりました。

建設から2000年 現役の円形闘技場
街には巨大な円形闘技場や水道の跡などローマ遺跡がいくつも残っていて、世界遺産になっています。2万人を収容できる円形闘技場は驚くほど保存状態が良く、建設から2000年経った今でもコンサートなどで使われ現役です。

また街の近くには巨大な製粉場の遺跡も残っていて、ローマ帝国を支える大量の小麦粉がアルルから輸出されていたと考えられています。その一方、帝国各地からの物資が地中海を運ばれて、海に近い河口の街アルルに集積され、さらにローヌ川を使って内陸の各地に運ばれていったとされます。

古代から重要な輸送路だったローヌ川。アルルからこの川を遡っていくといくつも世界遺産が点在しています。
50キロほど上流にあるのが「オランジュのローマ劇場と"凱旋門"」。オランジュは、カエサルのもとで戦った兵士たちが築いた街で、凱旋門には戦いに勝ったローマ軍の様子が描かれています。


