■第19回世界陸上競技選手権大会 第5日(日本時間24日、ハンガリー・ブダペスト)
女子5000m予選で田中希実(23、New Balance)が日本記録を更新。2021年に廣中璃梨佳が記録した14分52秒84を14秒86も更新する14分37秒98で6着、3大会連続となる決勝進出を決めた。1組を走った廣中璃梨佳(22、JP日本郵政グループ)は今季自己ベストの15分11秒16も12着、初出場の山本有真(23、積水化学)は16分05秒57の組最下位で予選敗退となった。決勝進出条件は各組8着以内。
今大会は1500mと5000mにエントリーし、3本目のレースとなった田中。同組には世界記録保持者で1500mで優勝したF.キピエゴン(29、ケニア)やベテランのS.ハッサン(30、オランダ)ら強豪選手が名を連ねる厳しい戦いが予想された。スタート前は集中した表情を見せ、集団の前方で様子をうかがった。準決勝敗退となった21日の1500mでは位置取りを失敗したと語っていた田中は前から4番目、外側をキープ。1000m通過時点ではハッサンの後ろ、2番目の位置で安定した走りを見せる。序盤は世界記録保持者の前を走る積極的なレースとなった。
中盤でアフリカ勢が次々と田中の前に出たが日本記録ペースで走る田中の表情は変わらず、先頭から6番目の位置でしっかり強豪選手にしっかりついていく。最後1周で先頭集団がスパートしても、冷静に対応した田中。約15秒日本記録を更新する14分37秒98をマークし6着でフィニッシュ。3大会連続の決勝進出を決めた。
レース後は「日本記録はやっぱり狙っていたんですけど、30秒台のタイムは自分でも予測していなかった。40秒台前半はハマれば出ると思ってたんですけど、一気に30秒台までいけたのはすごく嬉しいです」と話した田中。
「まさかああいう展開になるとは思わなかった。途中からハッサン選手が出てくれた時点で今日はタイムを狙えるなというふうに前向きに捉えることができて、そしてハッサン選手が最後まで行ききってくれたおかげで、私も何とかぶらさがるという形ではあったんですけど、世界の背中を見ながら最後まで走れたので、そこはとてもよかったなと思います」。日本時間27日に行われる決勝に向け「今日はタイムが出たのでもうあとは怖いものはないと思うので、決勝では走れる喜びを胸に最後までかけぬけたいと思います」と意気込んだ。