夏、ビールが美味しい季節です。ではなぜ、美味しいのでしょう?のどが渇きやすいから?汗をかくから?「夏ビールがうまいのは当たり前」をあえて真面目に考察しました。

「かんぱーい!最高です!」

週末のビアガーデン。集まった人たちの手には、ビール!

「夏だからビール、ビールといえば夏だ」

巨大なスペアリブに焼肉!夏のスタミナ料理をビールで流し込みます。

しかし、なぜ夏はビールをより美味しいと感じるのでしょう。

やってきたのは放送大学。研究の一環でクラフトビールを作ってしまうほど、ビールが大好きという谷所長に話を聞きました。

放送大学熊本学習センター 谷時雄 所長「(ビールの)適度なアルコールが血流を活性化して腎機能も上がり、尿の成分としても多く出てきますから、より飲みやすいです」

夏にビールが美味しい理由の一つは適度なアルコール度数。度数の高いウイスキーや日本酒などと比べるとグビッと飲みやすく、喉を潤す最初の1杯にはもってこいだと言います。

さらに。

谷 所長「暑い中でホップの苦味も喉の奥の粘膜とか舌とかに影響しますから、飲みやすいです」

ビール特有の苦味もポイントの一つにあげます。この特徴を深掘りするためにやってきたのは、熊本の天然水でビールを作るサントリー九州熊本工場。

サントリー九州熊本工場 小早川紗嬉さん「麦芽、ホップ、天然水、この3つでビールを作っています」

ここで、細かな味の変化を感じとり日々品質チェックを行うビール作りのエキスパート、久保田さんに話を聞きました。気になる『苦味の話』…の前に教えてくれたビールのある性質とは。

サントリー九州熊本工場 醸造技師長 久保田寛さん「水と油は親和性がないので油を注ぎ流してくれて、苦味を押しやることでリセットするようなイメージ」

ビールの成分のうち大部分は水。そのため、油をはじく性質も強く、炭酸とともに口や喉の油分を一気に洗い流すのだそう。

「(料理に)油を多く使っている時は杯が進みますよね。炭酸ガスがあるからこそ、すっきり洗い流してくれる。苦味が後味のよい余韻をもたらしてくれる」

唐揚げや餃子、バーベキューなどにもぴったりというわけです。そして、苦味の役目については。

「喉で感じる苦味と言われていまして、渇きを潤してくれる。そういった効果があるのではと言われています」

一体どういうことなのか?

この謎を解き明かすため最後にやってきたのはこちら。味覚に詳しい、ましきクリニックの桂文裕院長です。

桂 院長「ビールに関係する苦味とかうま味を感じさせる細胞は、舌の後ろの方から喉の入り口にかけてある」

喉は苦味を感じやすい場所なのだそう。では、ビール特有のあの爽快感は?

「味覚を感じる以外に、そこを通る食べ物の感覚、触覚みたいな(役割もある)」

喉を通る食べ物の感覚にも敏感な場所だということです。

「そこにビールの冷たさとか炭酸の刺激とか苦味とか直接あたると思わず飲み込んでしまう。ひとくち目は」

苦味を感じる場所と潤いを感じる場所が同じ。つまり、同時に2つの感覚が刺激されるというわけです。これが、のどごしの正体。

さらに桂院長によりますと夏は口呼吸が多くなり、喉が乾燥しやすいことからより潤いを感じやすくなっていると言います。

残暑というには、厳しすぎる暑さが続く県内。今夜は喉の味覚と感覚を研ぎ澄ませてビールを楽しんでみては?