認知症の原因とされるアルツハイマー病の新薬について、厚生労働省の専門部会がきょう、承認すべきかを審議します。承認されれば、病気の原因物質を取り除くための国内初の薬となります。
夕食の準備をする80代の男性は早期のアルツハイマー病患者です。家事は夫婦で分担していますが、すでにテーブルに並んでいるものを探す場面も。
患者の妻
「これはお父ちゃまがやる係。お砂糖とコーヒーを入れるのね。グラスは出したから大丈夫」
患者
「グラスは出した?」
7年ほど前にアルツハイマー病と診断され、症状はあまり進行していませんが、「歯磨き」など毎日行うことも妻の指示がないと忘れてしまうことがあると言います。
患者の妻
「こちらが指令しないと、あの事やったとか、朝起きたら歯磨いたとか、そんな感じの事が何もわからなくなってきて」
日本には600万人以上の認知症患者がいて、その6割以上がアルツハイマー病と言われていますが、現在、患者に使われている薬は「症状を緩和する」ものです。病気の「進行を遅らせる」効果が期待される国内初の薬について、厚労省の専門部会が承認すべきかどうかを審議します。
アルツハイマー病は「アミロイドβ」が脳に溜まることが原因とされていますが、製薬大手の「エーザイ」などが開発した新薬「レカネマブ」は、「アミロイドβ」を取り除くことができると言います。
患者
「これ以上(症状が)進むのは、本人としては、本当のことを言えばなりたくないよね」
患者の妻
「私に一番迷惑かけるもんね」
患者
「はい」
患者の妻
「今度の新しい薬なんかには期待しています」
ただ、「レカネマブ」の対象となるのは病気の進行が早期の患者に限られます。さらに、アミロイドβが脳内にあるかどうかを判別する検査が必要で、コストがかかることなどから、しっかりと対象の患者を絞る必要があると医師は指摘します。
くどうちあき脳神経外科クリニック 工藤千秋院長
「医療費の高騰に繋がるので無制限に使えないだろうという、しっかりと使える方の制限制約というものが必要。国が示してくれる方針に従って、我々動くわけですので。(対象者について)具体的な指示をしていただかないと、我々現場は困る」
アルツハイマー病患者を救う新薬となるか。審議の行方が注目されます。
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