■“不正生コン”強度不足の可能性も
川崎市宮前区にある生コンクリートの製造会社「小島建材店」。日本産業規格=JIS(ジス)に適合していることを認定されていて、その証明書もあります。また、コンクリートの材料について、様々な試験結果が掲載された証明書もあります。
しかし、これらはすべて不正なコンクリートが使われた可能性がある現場の書類でした。

小島建材店の生コンを使用した施工業者
「私たちは経済産業省が認定したJIS規格、その工場を使って安心して基礎工事を完了した。結果それが不正利用があった、違法建築が、ということです」
小島建材店は、今年1月からおよそ1か月にわたり、余った古い生コンクリートと新しいものを混ぜた不正な生コンクリートを出荷していたことが判明。今年2月、JISの認証が取り消されました。
生コンクリートとは、固まる前のコンクリートのこと。JISの基準では、練り混ぜから90分以内に現場に届けるよう定めています。
今回の問題とは全く関係のない別の業者に聞くと、余った生コンクリートを古いものと混ぜることで、場合によって、強度が不足するおそれがあるといいます。
生コンクリート製造会社(※今回の問題とは全く関係の無い業者)
「(仮に)実際に出荷するコンクリートの強度よりも低い物を再度出したとなれば、強度は低くなるので問題だと思う」
■「工事のキャンセルが出たため、やむなく混ぜ込みを…」

JNNは、不正なコンクリートが使われたとみられる川崎市など、7つの市や区に取材しました。
すると合わせて、およそ70の建物で使われた可能性があることがわかりました。
記者
「古いコンクリートを使うのは社長からの指示だった?」
小島建材店の従業員
「それは私の言葉では言えません」
社長の自宅を訪ねてみると、応答はありませんでした。
川崎市が今年4月、小島建材店に聞き取り調査したところ、次のように回答したといいます。
小島建材店
「今年1月6日に雪が降って気温が低く工事のキャンセルが出たため、やむなく混ぜ込みをしてしまった。そこから2月3日まで継続的に出荷してしまった」
■“不正生コン”取引業者困惑「会社たたむしか…」
川崎市は「物件の個別調査を速やかに進め、購入者の負担や不安を解消するため、万全を尽くしたい」とコメントしていますが、街の人は…40代
「人生の一番の大きな買い物だと思うので、責任を持って対応していってほしい」
60代
「僕らからは確認しようがない。特に基礎の土台のところになると。だから行政がちゃんとしてくれないと困る」
小島建材店と取引がある業者は、問題があった建物の補強費用などをハウスメーカーから請求される可能性があるといいます。
小島建材店の生コンを使用した施工業者
「見た目じゃ全くわからないもの、生コンクリートというのは。特にこちらに非があったのかなと。本当にうちに請求してくるのかなと。そうなったら会社たたむしかない」