なぜ自分が好きなものを好きと言ったら、それを否定されるのか、その違和感が前田さんの悩みの始まりでした。

小学校に入学する際には、黒いランドセルが欲しかったそうです。でも買ってもらったランドセルは赤色でした。小学校5年生の頃には胸が膨らみ、生理も始まりました。

前田良さん
「僕はその時に、絶望を感じました。自分が女性の体だっていうのは分かってるけども、なんで、胸が膨らむの、なんで生理があるの、とすごく辛くなったんです。でも、その辛さを誰にも言えないんですよ」

性の悩みを1人で抱え込むしかなかった前田さん。中学時代は、スカートの制服を着ることがつらかったそうですが、そのことを親にも先生にも、友だちにも言えずにいました。

そして、進学した鳥取県内の女子高の入学式へは、ブレザーとスカートの制服を着て学校へ行くと、髪を短くしていた前田さんに上級生が言った言葉は、『男の子が女装して入学してきた』。

自分の悩みを誰にも相談できなかった前田さんは、高校時代、死ぬことも考えたそうです。