ここのところ、連日取り上げられているのが富士山をはじめとする山岳遭難のニュース。8月11日も富士山6合目で体調不良を訴えた高齢男性が救助されるなど、2022年の同時期に比べて、2023年は4倍近くになっています。
装備や計画が不十分な「弾丸登山」が目立つ一方、装備もしっかりして、山小屋で休息をとっていても、天候の急変や体調不良などで救助要請をするケースもあります。こうしたニュースでたびたび話題となるのが、捜索や救助にかかる費用の問題です。
<静岡市山岳連盟 辻秀信遭難対策委員長>
「遭難して捜索するとなると費用がかかることを前提にしてほしい」
静岡の山を知り尽くした山のプロ・静岡市山岳連盟の辻秀信さん。たとえ、万全の準備をしていても危ない場面はあるといいます。そこで辻さんが登山をする人にぜひ準備してほしいというのが…。
<静岡市山岳連盟 辻秀信遭難対策委員長>
「やはり何百万円というお金がかかってしまう。その時のために、遭難した場合の捜索費用の保険があります」
辻さんが加入しているのは、年間契約の保険で1回の捜索で300万円まで出るもの。また、個別の保険もあり、期間は1日から1週間程度で金額も500円~1,000円程度となっています。ただ、気をつけたいのが…
<静岡市山岳連盟 辻秀信遭難対策委員長>
「安い分、捜索の費用が保障に入っていないケース多くあるので、保険に入る場合は必ず個々の保険で保障内容を確認してください」
さらに、大切だというのが登山計画書です。
<静岡市山岳連盟 辻秀信遭難対策委員長>
「いつ、誰と、どこへ、どのルートで行って帰ってくるのか、そういったものを文字にして送る。警察に送るものもあるし、登山口の届け出の箱があるので、そこに入れることもできる」
特にひとりで山登りをする人は、登山計画書がないと、もしもの時に捜索が遅れる恐れがあるのです。
ところで山のプロが遭難しないために用意している最新グッズがあります。
<静岡市山岳連盟 辻秀信遭難対策委員長>
「僕が使っているアプリは、地図をダウンロードできる。電波があるところで、行く場所の地図をダウンロードしておいて山に入るそうすると電波がなくなっても地図が使える」
あらかじめダウンロードしておくことで、電波がなくても使える地図アプリや家族などと位置情報を共有できるものもあり、もし遭難しても正確な現在地を捜索隊に伝えられる場合があります。
ただ、万全の準備をしても山の気候や自然はコントロールできません。
山岳遭難対策制度「ココヘリ」の担当者は、最悪のケースも踏まえた備えが大切だといいます。
<AUTHETIC JAPAN 清水清文さん>
「万が一亡くなっていたとしても、もし遺体でも見つからないと失踪者扱いになって、7年間は生命保険が下りないとか住宅ローンが免除されないとか、会社によっては『退職金を払えません』というケースがある。事前に下調べが必要になってくる。そうすることである程度のリスク回避、例えば、歩行時間を調べることで、『自分は本当にできるのだろうか』とかわかる」
山岳遭難は、はじめの何日か警察や消防の捜索は原則費用は掛かりません。しかし、救助のたびに多くの山岳救助隊員が出動しています。当然、その分を税金で負担しているともいえるのです。繰り返しますが、登山計画書やGPSアプリなど事前の準備は入念にお願いします。
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