受刑者の高齢化が進む刑務所。事実上の“リハビリ”が行われている現場に、初めてカメラが入りました。115年ぶりの法改正で刑務所はどう変わるのでしょうか?

■刑務所の“リハビリ” 法改正で何が変わる?


お手玉を投げているのは受刑者。ここは、東京・府中刑務所の訓練場です。
実はこれ、受刑者に義務づけられた「刑務作業」の一環です。
本来、"懲罰”と位置づけられる「刑務所での作業」が今、変わろうとしているのです。

背景にあるのは受刑者の高齢化の問題。

全国の刑務所に収容されている受刑者は約4万人。60歳以上の割合は年々増加し、約2割を占めています。


高齢の受刑者に対応するため、府中刑務所では2020年から「機能向上作業」と呼ばれる作業プログラムが試験的に導入されています。

今回、その撮影が初めて許可されました。

「作業」にあたるのは体が不自由で認知力に衰えがある受刑者6人。
松葉づえをついて、ゆっくりとした足取りで「作業」に向かいます。


これまで刑務作業は縫製や加工といった「ものづくり」が一般的でした。しかし…

作業療法士
「辛かったら言ってくださいよ」


「機能向上作業」は「作業」とはいうものの実態はリハビリ。

身体の不自由な受刑者には作業療法士の資格をもつ職員が寄り添いストレッチを行います。
この受刑者が取り組んでいるのはパソコンで図形を作る作業。認知能力向上のためのいわば”脳トレ”です。


作業療法士
「どうですか、最近調子は?」
受刑者
「今日はちょっと悪いですね」

ひとりひとりの受刑者の体調や特性に合わせてメニューをつくっていきます。

作業療法士 紙田緑さん
「できるであろう刑務作業ができない実態を、私自身も初めて刑務所で仕事をするようになってわかった。では彼らのその特性を使って何ができるかというところで、今の機能向上作業を作り上げてきた」

こうした「機能向上作業」は現在、全国10の刑務所などで試験的に行われています。

一方、政府は刑務所の実情を踏まえ、115年ぶりとなる新たな「刑」の創設に動きました。

現在の「懲役刑」と「禁錮刑」を合わせ「拘禁刑」という新たな刑を設ける法案を今の国会に提出しました。


拘禁刑は「改善更生を図るため必要な作業又は指導を行う」と規定されていて、法案が成立すれば、受刑者の特性に応じた柔軟な処遇が可能となります。

府中刑務所 下田哲之 首席矯正処遇官
「(拘禁刑で)現行の作業のやり方が変わる可能性もあります。受刑者の個々の特性によってですね、それぞれ教育・作業を実施するようになる。スムーズに移行できるように頑張っていきたい」

変わる刑務所。しかしそれだけでは受刑者の社会復帰につながらないとの指摘もあります。