大分県別府市で大学生2人が死傷したひき逃げ事件をめぐり、遺族らは県警察本部に対し容疑を「殺人」に変更するよう求め、署名活動を行うことを明らかにしました。

この事件は別府市で去年6月、信号停止中のバイク2台に軽乗用車が追突し、大学生2人が死傷したものです。県警は車を運転し、現場から逃走した八田與一容疑者(26)をひき逃げの疑いで公開手配しています。

捜査関係者によりますと事件直前、現場付近の駐車場で八田容疑者と亡くなった大学生との間で、トラブルがあったということです。事故の状況や証拠からバイクに追突した時、八田容疑者の車は少なくとも制限速度の2倍にあたる時速80キロ以上出ていたとみられています。さらに現場にはブレーキ痕や避けようとした形跡がないことなどから死亡した大学生の原付バイクをめがけて追突した可能性があることがわかっています。

八田容疑者の車にはねられた2人うち生存した大学生も事件当時について、「すごいアクセル踏む(エンジンの)音がした」「バイクのミラーで見たら、もうヘッドライトがすぐ近くに迫ってきていた。パッと見た瞬間、後ろから突っ込まれた」などと証言しています。

事件の早期解決に向け、遺族と支援団体は県警に対し逮捕状の容疑を「ひき逃げ」から「殺人」に変更するよう求め、10日からオンラインで署名活動を行うことを明らかにしました。ひき逃げには7年の時効がありますが、殺人には時効がありません。

遺族は「あの日病院からかかってきた1本の電話により私たち家族の生活は一変しました。大事な息子を失っただけでなく、容疑者が捕まらないという二重の苦痛を味わされています。署名を通して、八田容疑者の逮捕状の罪名が「殺人罪と殺人未遂罪」へ切り替えられることを願うとともに、逮捕後も厳罰を望んでいます」とコメントを寄せています。

また、「八田與一容疑者を重要指名手配ポスターに載せ、全国の交番に貼るためにも『殺人』への罪名変更が必要です。チカラを貸してください」と呼びかけています。

ことし7月末までに全国から警察に寄せられた情報は1167件に上っていますが、今のところ有力な手がかりにはつながっていません。

情報提供先:大分県別府警察署 0977-21-2131