Bさん:
「途中でやめたいと言ったら(指示役が)怒り出した。『警察に言うぞ!ここでやめたら捕まるぞ!』と脅されて、確かにそうかもしれないと思って、それからは何も言えなくなって、続けてしまった」
ーー「確かに、と思ってしまったのか」
Bさん:
「そう思ってしまった。いつも穏やかで、怒鳴ったりしないから怖かった」
正常な判断がつきづらい若者が犯罪者に利用され、“捨て駒”として扱われいてる闇バイトの実態。長年、未成年の更生に携わってきた工藤良さんは、若者が闇バイトに加担してしまう理由を次のように解説する。
NPO法人田川ふれ愛義塾・工藤良理事長
「今の若い子たちは想像力が足りない。物事を単純に考え過ぎていて、現実を捉えきれていない印象がある。一発勝負で、これさえ成功すれば大金が稼げると唆されたりすると、簡単に信じてしまう。“画面世代”という背景もあると思う」
ーー「画面上だと相手が悪い人かどうか判断がつきにくいということか」
工藤良理事長
「そういう面は、かなりあると思う。僕たち大人は相手が考えていることを表情で読み取ることができるが、今の若い子はそういう力が弱くなっていると感じる」
闇バイトに加担する若者が増加している背景には、“スマホ”を使ったコミュニケーションが当たり前となっている現代特有の事情もあるのかもしれない。
SNS時代に改めて問われる「個人情報」の重要性
Aさんのケースを見ていると、やはり「個人情報の扱い方」が、闇バイトから抜け出せなくなって
しまう大きな要因だと感じる。改めて文字にしてみると、「何を今更…」とも感じてしまうが、SNSのやり取りではお互いの顔が見えないことが特徴になっている。
犯罪者はこの状況を利用して「あなたを信用するために、本人かどうか確認させてほしい」など、言葉巧みに個人情報を引っ張り出そうとしてくる。Aさんは言われるがまま情報を渡してしまった結果、指示役から脅され続け、雁字搦めになってしまった。
大げさではなく、今の時代、個人情報の流出が“命取り”になることを改めて自覚する必要がありそうだ。自分からすれば些細な情報であっても、犯罪者たちにとっては有益な情報である可能性がある。見ず知らずの人物からそういった情報を聞かれること自体、「もしかしたら、いま自分は何かしらの犯罪に巻き込まれているのでは」と用心しなければいけない時代になっているのかもしれない。














