日本最大の歓楽街、新宿・歌舞伎町。色鮮やかなネオン街を抜けたその一角、大久保公園の周辺には路上売春をする女性たち、いわゆる“立ちんぼ女子”の姿があった。

路上で立っている動画が撮影され、拡散されるなどSNSで度々話題にあがる彼女たち。売春防止法・第3条では、売春・買春ともに法律で明確に禁止されているにもかかわらず、なぜ“路上売春”という選択をして、立ち続けているのか…。その答えを知るため、私は約3か月間大久保公園に通い多くの女性の話に耳を傾けた。そのうち、ある2人の女性への取材から見えてきた実像をお伝えしたい。
(8月5日土曜 ごご2:00放送「直撃記者 #お話聞かせてもらっていいですか?」取材分より 担当:長谷川亮)
「立ちんぼで稼ぐって若いからできること」専門学生・Aさん(20)の場合
ヘアメイクの勉強をするため専門学校に通っているAさん(20)。彼女が“立ちんぼ”をする理由、それはホストのためだ。
Aさん(20)
「もちろん、最初は抵抗ありましたよ。でも、少しでも売り上げに貢献してあげたくて。もう“この仕事”に慣れたからなのか、『これでいいか』って思っちゃっている部分も正直ありますね。同じくらい稼げる仕事が他にあるなら、全然その方が良いんですけど。あと、“立ちんぼ”で稼ぐって、若いからできることじゃないですか」
2022年の夏、友達と一緒に遊びに行ったのがきっかけで、ホストクラブの楽しさを忘れられなくなってしまった。今ではお気に入りのホストのため、最低でも月20~30万円は使っていて、これまでに使った金額の合計は500万円を優に超えていると言う。
--「ホスト通いをやめる、という選択肢はあるんですか」
Aさん(20):
「何回もやめようと思ったことはあるけど、別に“担当”を嫌いになったわけじゃないから…。私、依存体質なんですよね、最初は疑似恋愛から入って。でも、今は完全に“情”ですね。“若気の至り”で済むうちに、ホストも“立ちんぼ”もやめたいとは思っています」
インタビューが終わると、Aさん(20)は「友達との待ち合わせがあるので…」と言い残し、再び歌舞伎町のまちへ消えて行った。
「手持ちが700円」「売春しないと生きていけない」 無職・Bさん(19)の場合
Bさん(19)は、小学4年生のとき母親からの暴力が原因で、児童養護施設に預けられた。高校進学を機に自宅に戻ったが、母親のDVは収まらず、着の身着のまま家を出た。しかし、どこか泊まろうにもお金がない。そんな時、たまたま見たSNSで、新宿・大久保公園周辺の“立ちんぼ女子”という存在を知ったのだと言う。
--「初めてこの場に立ったとき、どんな思いでしたか」