そんな中、どのような責任が、それぞれに考えられるのかですが、若狭勝弁護士は「刑事事件の可能性もある」と話しています。その理由は、器物損壊などが考えられるということで、罪に問われる可能性がある対象は、従業員になってくるということです。

若狭勝 弁護士:
刑事事件の場合は、器物損壊している当の本人が、刑事責任の追及の対象です。まずそこに、きちんと責任追及ができて、その上の工場長とか店長、さらにその上の副社長とかに、どんどん遡っていけるかは、皆さんがどういう供述をするかです。「こういう形で上から指示をされた」というのを明確に、きちんと説得力のある形で供述できるかになると思います。

ホラン千秋キャスター:
指示が明確に証拠的に残っていなかったとして「高圧的だった態度に押されて、やらざるをえなかったんです」では十分ではないんですか?

若狭勝 弁護士:
十分ではないです。かなりきちんとした証拠がないと、なかなか出来ないです。突き上げ捜査といって、自分の上、さらにその上にどんどん突き上げていって、刑事責任の追及をする際は、ただ単に漠然とした供述だけでは足りず、何らかの裏付けのメモとか、残ってるLINEとかがないと、なかなか上には上っていけないということです。

南波キャスター:
その一方で、ラインや暴言など様々なパワハラとされるかもしれない可能性があるものに対しては、民事訴訟を起こすことが出来るということですが、訴えられる対象は、▼ロイヤルファミリー、▼工場長、▼ビッグモーターです。

若狭勝 弁護士:
刑事事件は責任追及ですが、民事になると少し緩やかになって、必ずしも個人が何かしたよりも、会社全体として、いろんなパワハラがあったとなると、会社側が従業員の監督責任とか、使用者責任とかの形で、民事的な責任は刑事よりは、かなり上の方に行ける可能性は出てきます。

日比麻音子キャスター:
前副社長は、自ら辞職していますが、その場合でも問えるということですか。

若狭勝 弁護士:
ある程度証拠がないといけないですが、証拠が刑事よりは少なくて済みます。そうすると上の方に遡っていって、会社そのものに対しての責任追及ということも可能になってきます。

ホラン千秋キャスター:
LINEなどが証拠になるという話がありましたが、社内改革の一部として、ビッグモーターが「LINEを消してください」と指示しましたが、この点について、弁護士の立場から見て、この会社の判断をどう思いますか。

若狭勝 弁護士:
とんでもないことをしていると思います。証拠隠滅罪に先々問われることを、危険意識もなくやってることが、そもそもの会社の体質を表しているぐらいとんでもないことをやったと思います。