車いすテニスプレーヤー、小田凱人(17、東海理化)。今年6月、史上最年少の17歳で全仏オープンで初優勝し、最年少で世界ランク1位に。7月のウィンブルドンでも初優勝し、4大大会2連勝の快挙を成し遂げた。「最年少っていうのも意識してやってたんで、それが叶えられたのはもう一番嬉しい」。全仏後の過密スケジュールの中単独インタビューに応じた小田は、屈託のない笑顔を見せた。インタビューで、明らかになったのは小田の強さを支える「2つのポイント」だ。

小田の強さの秘密は「徹底的な基礎練習」と「前に出るプレー」

1つ目は徹底的な基礎練習。なんと、小田が毎日3時間に渡り繰り返していたのは来たボールを打ち返す等の基礎練習だ。

ーー毎日ずっと、1年間練習メニュがーほぼ一緒。ほぼというか全く一緒なんですね。

小田:そうですね。あれを1年前からやってます。

その狙いについて、小田はこう話す。

小田:
どんな練習でも同じことを繰り返していくと、それがやっぱり成長の段階が分かるというか同じことをしていれば、その質だったり、クオリティーも比べたらわりとはっきり出るというか。1年前ももう同じことしてますけど、はるかにボールの質とミスの量とかミスの量は減ってますし、完成度もすごい高い。

徹底した基礎練習を提案したのがU16の日本代表経験を持ち、小田を3年前から指導する熊田浩也コーチだ。

熊田コーチ:
練習メニューは話し合って決めたというか、僕が提案したというか。いつも同じペースのボールが出て、いつも同じタイミングでボールを打って、自分の変化にも気付けるしすごく大事なことだと思うので。

地道な基礎練習の積み重ねが、最年少での全仏優勝へとつながったのだ。そしてもう一つの強さの秘密は「前に出るプレー」だ。
     
小田:
1つの武器として、基本練習プラスポジションを前に上げて最終的にネットでフィニッシュするという。

爆発的な加速で一気に前に出るプレースタイル。攻めるテニスが小田の持ち味だ。     
さらに小田はツーバウンドまで許される車いすテニスにおいてあえてノーバウンドで打ち返す、ボレーを多用。そこには小田のある思いが込められていた。

「常にお手本に・・・」大きかった国枝選手の存在

小田:
車いすでボレーって中々ないし、それまでも見たことなかったんですけど、やっぱり一般のテニスを見ていると、それが格好良いなと思ったし、攻める姿勢をそこから学んだので、一般の選手の動きを想像しながら打っている感覚ですね、いつも。車いすでもやってのけたいというような反骨心というか。

9歳で骨肉腫を発症し、10歳から車いすテニスを始めた小田。小田がテニスを始めた時に活躍していた車いすテニスの第一人者・国枝慎吾選手の存在が大きかったと話す。

小田:
(国枝選手の存在は)大きかったと思います。国枝選手がいなかったら僕もこんなプレースタイルじゃなかったと思います。国枝さんも元々ディフェンシブな鉄壁のようなプレースタイルから一気に前に入ってくようにがらっと変えたじゃないですか。僕もテニスを始めて、気付いた頃にはもう超攻撃的なペースになっていて。国枝選手と対戦して、攻撃の早さは本当に感じましたし、自分の成長のスピードもおそらくここまで速くなかったと思うし、お手本にして常にやってきたので。

17歳の世界王者は、8月下旬の全米オープンで4大大会3連勝を狙う。