“変わりゆくドラゴンズ”の姿
投げる方では、宇佐見選手と共にファイターズからやって来た齋藤綱記投手が、6回を無失点に抑えた仲地投手からリリーフ登板。2三振で7回表をピシャリと抑える。
9回には、シーズンオフに京田陽太選手とのトレードで仲間入りした砂田毅樹投手が、ゲームを締めた。先発要員である涌井秀章投手だけは、さすがに出番がなかったが、立浪監督が就任して以来、他球団から獲得した6人の選手が、本拠地のドームに登場したのだった。
残念ながら、獲得した外国人の打者たちは、いまだに助けにならない“助っ人”だが、この試合での、国内移籍の6選手の活躍は、まさに“変わりゆくドラゴンズ”の姿だった。
立浪監督が感じた手応え

既存のメンバーにも、当然のように火が点いた。12球団で最もヒットを量産している岡林勇希選手はこの試合も3安打だったが、6番の大島洋平選手、7番の高橋周平選手、それぞれ2安打ずつの活躍。
新旧メンバーを取り混ぜた新打線は、見事に機能して、先制、中押し、そしてダメ押し、合わせて11安打で7得点を挙げた。投手陣も、強力ベイスターズ打線を1点に抑えた。
立浪監督の心中を察すれば、仲地礼亜という新たな先発投手の手応えと共に、嬉しいゲームだったに違いない。試合後の監督インタビューで、仲地投手について「兄弟と思われるほど顔が似ている」と、明るいジョークが飛び出したことも、選手起用が当たった喜びの表れだったと想像する。
いつまで続く!日替わり打線

しかし、快勝の次の試合では、また先発スタメンの顔ぶれが変わった。日替わり打線が続く。驚きの「1番・ビシエド」もあったが、東京ドームでは、育成ドラフト3位から支配下登録したばかりのルーキー・樋口正修選手が「1番」に起用された。
鵜飼航丞選手や村松開人選手の「1番」もあった。しかし、目立った結果は出ていない。チームには、岡林選手や大島選手という、まさに「1番打者」にふさわしい2人がいる。借金はついに20になった。相変わらず、走塁や守備での凡ミスも多い。それでも、ドラゴンズファンは応援を続ける。だからこそ、そろそろ“日替わり”ではなく、立浪ドラゴンズがめざす野球、その打順の姿を見せてほしい。
日本列島は連日の猛暑が続く。毎試合のスタメン発表で、ドキドキしたり、驚いたりすることは、この暑さ以上に、実は私たち竜党の心身に堪えてもいる。“暑さ”はグラウンドでの“熱い”プレーだけで十分である。明日への希望あふれる選手起用による“涼風”を待っている。
【CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】
※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社刊)『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲 愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。