中国のインフレ率が0%に

数字を見て目を疑いました。10日発表された中国の6月の消費者物価指数が、前の年の同じ月と比べて横ばいで、上昇率がゼロになったのです。

日本にいると物価上昇率ゼロは特に驚くことではありませんが、中国のような潜在成長率がまだ高い国で、特殊要因がない時期に物価上昇率がゼロになるなんて、ただならぬことが起きていると、感じさせる数字です。

先行指標の生産者物価はずっとマイナス

消費者物価は、食品とエネルギーを除いたコア指数でも、6月は0.4%上昇と5月より鈍化しました。

ゼロコロナ政策が終わって、V字回復が期待された中国経済が、逆に需要不足に直面していることを示しています。

同じ日に発表された6月の生産者物価(卸売物価)指数は、前年同月比でマイナス5.4%と、マイナス幅がさらに拡大しました。

生産者物価は、2022年の後半からずっとマイナス圏に沈んだままです。

生産者物価は消費者物価の先行指標なので、今後、中国の消費者物価がマイナスになることも考えられます。東京財団政策研究所の主席研究員である柯隆さんは「中国経済はすでにデフレ入りしたと判断して良い」と話しています。

4-6月期のGDPも前期比0.8%増

こうした懸念は、17日に発表された4-6月期の中国のGDPでも見て取れます。多くの記事の見出しは6.3%増でしたが、これは前年同期比の数字です。

中国当局は実質GDPをなぜか前年同期比で発表しています。しかし、先進国では足元の経済の勢いを把握するため、前期比で見るのが普通です。

季節調整を加えた前期比は、0.8%の増加にとどまり、1-3期の前期比2.2%から大きく減速しました。

0.8%は、年率換算では3.2%程度なので、中国が2023年に目標とする5%前後から見てもいかに低いかがわかります。

経済活動が再開されれば、一気に経済が復活するといった目論見は見事にはずれた形です。