■試合には出られなくても… 富永君の“4年目の夏”

富永君は再び、野球部での活動を始めました。

日本高野連の規定では、大会への参加資格があるのは3年間のみ。4年目となる富永君は、大会に出場することはできません。それでも-。

富永君
「ずっと野球をできていなかった分、今は自由にやれているので、それが楽しいです」

体力が落ちているため以前のように体は動きませんが、週に4日程度、自分のペースで参加しています。

夏の大会まであとわずか。大会に向け、自分の体調と向き合いながら後輩たちのサポートを続けています。

宇和高校野球部 井上廉キャプテン
「(富永君は)いつも冷静、クールでいろんな角度で物事を見れるので、そういう視点もあったんだと気づかせてもらえたりとか、適切なアドバイスをくれるので、すごく心強い先輩です」

富永君
「絶対いい試合をできると思うので、自分の得意なところとかを伸ばして頑張ってほしいなと思います」

去年は病室で迎えた夏。それでも忘れられなかった野球。

今年、病と闘い続ける彼は、チーム一番のサポート役として4年目の夏を迎えます。

富永君
「初めて自分が関わっている試合を外から客観的に見られそうな気がして、出られないけど大会は楽しみ。去年楽しめなかった分を精いっぱい楽しめる夏にしたいなと思います」

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7月14日、宇和高校は夏の大会の初戦を迎えました。相手は新居浜工業。富永君もスタンドから声援を送りました。

1点を追いかけるチームは9回裏、同点に追いつき延長戦へ。

しかし、10回タイブレークの末、勝利を収めることはできませんでした。

試合後…

泣き崩れるチームメイトと握手を交わし、少し涙ぐんだ様子を見せた富永君。

富永君
「楽しい夏だった。みんなが頑張ってくれて嬉しかったし、高校野球のお陰で野球が好きになれた。大学でも野球を続けて、次こそは自分がグラウンドに立って精一杯プレーできるように頑張りたい」

富永君は新たな目標に向け、進み始めています。