目を見張るトレード成功

立浪監督の下で、大幅にチーム改革が進む中、トレードは大成功と言える。初の「現役ドラフト」でベイスターズから移籍してきた細川成也選手は、今や竜打線の主軸である。チーム待望の“ホームラン打者”でもある。「4番」にも座った。三振もあるが、勝負強いバッティングにファンは魅了される。自身初のオールスターゲームにも出場する。
もうひとり、シーズン途中のトレードで、北海道日本ハムファイターズからやってきた宇佐見真吾捕手。当初は30歳という年齢が、代わりにファイターズへ移籍した郡司裕也捕手の25歳という年齢と比較されたりしたが、ヒットを量産し続ける巧みな打撃術によって、今や欠かせない存在になった。立浪監督の“目利き”が見事に発揮されたトレードだろう。
有望な若手選手の“宝庫”

そんな細川選手と宇佐見捕手だけではない。野手では、12球団最速で100安打に達した岡林選手、ケガから復帰して4番に座る石川昂弥選手、ルーキーの福永裕基選手と村松開人選手、そして龍空選手。
投げる方では、今や“エースの風格”が出ている小笠原慎之介投手と、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)最年少出場の高橋投手を双璧として、清水達也投手や育成ルーキーだった松山晋也投手。
投打それぞれに、これだけ楽しみな、それも力のある若手選手が揃っているチームは、ドラゴンズだけだろうと、胸を張りたい気持ちである。立浪監督が語った「勝てる選手」が、着実に「若手選手」とイコールになりつつある。
後半戦、2勝1敗の勝ち越しペースを続ければ、何かが起きる可能性も十分にある。ようやく、打線の顔ぶれも落ち着き始めてきた。ここまで来たら、中途半端に“先祖帰り”するのではなく、若竜を中心とした戦いで突き進んでほしい。それは、ファンとしての願いであり、希望である。立浪竜“その先にあるもの”を見せる戦いに期待したい。
【CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】
※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社刊)『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲 愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。