今も広がり続ける巨大な大地の裂け目
「巨大な大地の裂け目」にある世界遺産が、アイスランドのヴァトナヨークトル国立公園です。アイスランドは北大西洋に浮かぶ島国で、北海道よりも大きな島を巨大な大地の裂け目が南北に縦断しているのです。

裂け目は北アメリカプレートとユーラシアプレートの境界にあり、その地下から上がってきたマントルが上昇後に東西に流れていきます。このマントルの流れが、ふたつのプレートを分離させる力となって働き、巨大な大地の裂け目が生まれました。


今もアイスランドの巨大な裂け目は、年に数センチ広がり続けています。通常、プレートの境界や大地の裂け目は海底にあることが多く、地上に現れているのは珍しいことです。
こうした大地の裂け目からは頻繁にマグマが噴き出すため、裂け目に沿って火山が生まれます。そのためアイスランドは火山が多く、ヴァトナヨークトル国立公園にも活発な火山がいくつもあります。ただしヨーロッパ最大級の氷河が地表を覆っているため、どこに火山があるのか見た目ではなかなか分かりづらい所です。

番組でも撮影したのですが、広大な氷河に所々、大きなへこみや穴が空いています。これは地熱によって氷河が溶けて陥没したもので、すぐ下に火山があることを示しています。そこから噴火が起きると、火山からマグマが噴き出し、白銀の世界に赤い火柱が立つ・・・という世にも稀な景色が生じます。

氷河と同居していること以外にもうひとつ、ヴァトナヨークトルの火山には特徴があります。ここでは大地の裂け目から噴火が起きるため、いくつもの火口が裂け目に沿って直線状に並んでいるのです。これは「火山列」と呼ばれ、空から撮影すると、湖を挟んで二つの火山列が並んでいるところもありした。
ヴァトナヨークトルの火山列の中で特に大きいのがラカギガル火山列で、25キロにわたり130もの火口が直線に並んでいます。ラカギガル火山列は1783年の噴火で出来たのですが、この噴火はアイスランドの観測史上最大規模のもので、世界の気候をも変えたといわれます。

