がんになりにくく長生きというハダカデバネズミ。今、人間の医療に活用できないか研究が進められていますが今回、熊本大学が新たな発見をしました。
来園者「不気味というより、なんか不思議な生き物」

特徴的な前歯に、毛のない体。

6月30日から熊本市動植物園で一般公開されているハダカデバネズミ。

さらに・・・
記者「熊本市の中心部ではハダカデバネズミの生態に迫る展示会が開かれています」

展示会が開催されるほど注目の存在となっています。
その最大の特徴は寿命の長さ。
一般的なネズミの寿命は3年と言われますが、ハダカデバネズミの寿命はなんと30年。10倍も長生きするのです。

熊本大学大学院生命科学研究部 河村佳見 助教「こちらがデバネズミの飼育室です」
この長寿の秘密は何なのか?熊本大学は10年以上研究をしています。

これまで、がんになりにくいことは明らかになっていて今回、その手がかりが新たに見つかったのです。

河村 助教「ハダカデバネズミには細胞老化が起こることは分かっていましたが、起こった細胞老化がその後どうなるかは分かっていなくて、それが今回の研究で初めて明らかになりました」

一般的に、細胞は紫外線を浴びるなどの影響で「老化細胞」に変化します。それらが長期的に体内に蓄積されると…がんの原因になります。

一方、ハダカデバネズミは…
河村 助教「(細胞は)老化はするんですけど、そのままの状態を維持できなくて死んじゃうという感じです」
老化細胞が蓄積されず死滅することでハダカデバネズミはがんになりにくいのです。

ではなぜ老化細胞が死んでいくのか、ハダカデバネズミの細胞内で予想外の存在が見つかりました。
河村 助教「なんでセロトニンがこんなに溜まっているのか全く予想していなかった」
「セロトニン」…「幸せホルモン」と言われるホルモンが細胞内に見つかったのです。人間など、多くの生物の細胞には含まれない神経系の伝達ホルモンです。

なぜハダカデバネズミの細胞に含まれるのかはわかっていませんが、細胞に老化ストレスがかかってもセロトニンが化学反応を起こし、老化細胞を死滅させる成分が生成されることがわかったのです。

謎に包まれていたハダカデバネズミの老化防止のメカニズム。今後、研究が進むことで人間の老化防止にも役立てられるかもしれません。

河村 助教「(今後)どういう老化細胞がどのタイミングでいなくなっているかを調べることで安全な老化細胞除去薬の開発に繋がればいいなと思っています」