世界遺産の中で、映像的に最も迫力があるのは火山と氷河です。
両方とも自然遺産に分類されますが、氷河で代表的なのはデンマーク領グリーンランドの「イルリサット・アイスフィヨルド」。グリーンランドは北極圏に位置する世界最大の島で、その約8割が氷に覆われています。

イルリサットというのは地名で、内陸に深く入り込んだ入り江(これがフィヨルド)に大量の氷河が流れ込み、フィヨルド全体が氷山で埋め尽くされているため、イルリサット・アイスフィヨルドと呼ばれています。
北半球で最多の氷山が生まれるところで、あのタイタニック号と衝突した巨大氷山もここから大西洋に流れ出したものです。番組では何回か撮影していますが、広大な氷の平原、入り江に崩落する高さ数十メートルの氷河、外洋へ流れていく巨大な氷山・・・圧倒的な迫力です。

世界遺産になった氷河は他にもいろいろあるのですが、比較的観光しやすいのは、スイス・アルプスのアレッチ氷河。全長23キロもあるアルプス最大の氷河です。

標高4000メートル辺りという超高所にあるのですが、ここはユングフラウ鉄道というアルプスの山岳鉄道で見に行けます。この鉄道の終点ユングフラウヨッホ駅はヨーロッパで一番高いところにある駅で、駅に直結している展望台からアレッチ氷河が一望できます。

ここも番組で撮影していますが、峰と峰の間を流れてきた巨大な氷河が合流し、さらに下っていく様子がよく分かり、まさに「氷の河」であることが実感出来るところです。
世界一活発な火山
一方、火山もいろいろと世界遺産になっています。代表的なのがアメリカの「ハワイ火山国立公園」。有名なキラウエア火山は、この100年で50回も噴火してきた世界一活発な火山のひとつです。


ここも番組で何回か撮影していますが、火口から流れ出した溶岩が海に流れ込み、大量の水蒸気が発生する様子はすさまじい迫力でした。
インド洋にある「レユニオン島の火山峰」は、フランスの世界遺産。こちらにも世界一活発といわれるフルネーズ山があり、この20年で60回も噴火しています。

2007年の噴火では、やはり流れ出した溶岩が海にまで流れこみ、島の周囲は死の海と化しました。その10年後に番組では海中の様子を撮影したのですが、真っ黒な溶岩だらけの海底に少しずつサンゴ礁が甦ってきていて、自然の再生力の凄さを感じることが出来ました。



氷河と火山が共存している珍しい世界遺産
このように自然遺産の二大テーマともいえる氷河と火山ですが、このふたつが一緒に共存している珍しい世界遺産があります。それがアイスランドの「ヴァトナヨークトル国立公園」です。